改正障害者差別解消法のためではない? ウェブアクセシビリティに取り組むべき3つの理由
ウェブアクセシビリティがもたらす:3つのビジネスチャンス
実際、日本での法的義務の有無にかかわらずアクセシビリティを実現することはビジネスチャンスにもつながります。それには大きく3つの理由があります。 ■ [理由(1)] ユーザーリーチの拡大 日本だけでも、ウェブアクセシビリティの恩恵を受ける人は428万人以上※いると言われています。世界の障害者人口は、世界人口の15%と言われていますから、アクセシビリティが低いサイトは、世界人口の12億人のユーザーにアプローチできていない、ということになります。 「国内ビジネス・B2Bビジネスに注力するから関係ない」という主張も合理的ではありません。少子高齢化の日本の社会では、インターネット利用者のニーズにも少しずつ変化が起きています。老眼、生まれつき近視、忘れやすい、聞こえづらいなどの特性に共感できる方は多いと思われます。そのため、ウェブアクセシビリティでこれから増えていくユーザーのニーズは「読みやすい」「聞こえやすい」「操作しやすい」「認知しやすい」サイトであると考えられます。 障害者や高齢者のニーズに応えることは、将来のユーザー拡大に向け必須です。アクセシビリティ対応は配慮でなく、今後はできるだけ多くのユーザーに到達するための前提となります。 ※デジタル庁「ウェブアクセシビリティ導入ガイドブック」より ■ [理由(2)] ブランド力の向上 サステナビリティは、企業の社会的責任の指標のひとつとなっているように、アクセシビリティにコミットすることはそのブランドが「すべての人に届けたい」というスタンスであることを示します。 実際、世界をリードしている企業はアクセシビリティのリーダーでもあります。Appleは視覚障害者が自在にiPhoneを操作できるようなアクセシビリティ機能を豊富に搭載しています。MicrosoftもTeamsにハイコントラスト色設定や会議中の字幕の機能を備えていますし、Googleはウェブサイトのアクセシビリティチェックを行なうGoogle Lighthouseを提供しています。ちなみにアドビもCreative CloudソフトやPDFのアクセシビリティ機能の開発・提供に取り組んでいます。 ■ [理由(3)] 海外展開 米国はもちろんですが、欧州にも「欧州アクセシビリティ法」(European Accessibility Act:以下EAA)という法律があります。その他にも、多くの地域でウェブアクセシビリティに関する意識は高まっています。日本企業が海外にビジネスを展開するには、ADAやEAAなどを考慮したサイト設計が必要です。