ベンチャーの経営者が「それをやられると困るな」と感じている社員の行動・ワースト1
「先陣を切って行動する人は、ベンチャーで評価されません」 そう語るのは、ベンチャー・スタートアップに特化した転職エージェント「キープレイヤーズ」代表の高野秀敏さん。自身も1.1万人以上のキャリア相談、4000社以上の採用支援の実績を持つヘッドハンターであり、活躍する人の特徴を「現場」「経営者」の両方の目線で知り尽くしています。 その高野さんがベンチャー流の「なにがあっても結果を出す働き方」をまとめたのが、書籍『ベンチャーの作法』です。圧倒的に活躍する人に共通する「5つの行動原則」を紹介。“きれいごと”抜きの仕事論に、「こんな本がほしかった」と話題に。この記事では、本書より一部を抜粋・編集し、「ベンチャー経営者を悩ませる社員の行動」をお伝えします。 ● 「ファーストペンギン」になってはいけない 「ファーストペンギンになれ」 自己啓発書などでよく言われてきたことです。 ですがベンチャーのいち社員として、あなたに求められる「行動」はファーストペンギンになることではありません。 ファーストペンギンとは、ペンギンの群れが魚を求める際、天敵がいるかもしれない海に最初に飛び込む果敢なペンギンのことを指しています。リスクを取るかわりに「手付かずの魚群」という先行者利益を得られます。 そこから、ビジネスの世界でも「リスクを顧みずに挑戦すること」を意味して、ファーストペンギンになれとよく言われるようになりました。 ですが、目の届かないところで戦略もなしに勝手に海に飛び込まれては、群れを率いる経営者は困ってしまいます。 ● 「最初に飛び込む」のは誰の役目? ベンチャーでファーストペンギンになるのは経営者の役目です。 私がこれまでに会ってきたベンチャーの経営者は、皆とても勇敢でした。 独創的で行動力にあふれていて、決断力もある。そんな人たちばかりです。 誰もやったことのないビジネスや未開拓の市場に可能性を見出し、つねに新しい挑戦をしていました。 高い視座で得た情報をもとに魚の気配を察知し、勇敢に海に飛び込む。 これは、経営者の役目なのです。 ● 「2人目」が評価も結果も手にする でも、ひとりでやれることには限界があります。社員がついてこなければ、ビジネスは広がらないし持続もできません。 経営者というファーストペンギンが果敢に飛び込み、そこに魚群を見つけたとしても、あとに続くペンギンがいなければ「組織」という群れは飢えてしまいます。 つまり、重要なのは2人目の存在です。 優秀で勇敢なファーストペンギンのあとを追って海に飛び込み、多くの「普通のペンギンたち」の行動を促す。 ベンチャーで結果を出し、評価されるのは、そんな「セカンドペンギン」です。 これが、いち社員であるあなたに組織が求める「行動」です。 経営者が示した戦略や戦術に乗っかり、行動する。 要するに、与えられた任務を確実に遂行できる人が評価されます。 「評価なんて興味ない」という人もいるかもしれませんが、裁量のある仕事も給料のアップも、すべては仕事で結果を出して評価された先に与えられるものです。 (本稿は、書籍『ベンチャーの作法』の内容を一部抜粋・編集して作成した記事です) 高野秀敏(たかの・ひでとし) 株式会社キープレイヤーズ代表取締役。東北大学特任教授(客員)。文部科学省アントレプレナーシップ推進大使 これまでに1.1万人以上のキャリア相談、4000社以上の採用支援をおこなってきたヘッドハンターかつ経営者。とくにベンチャー・スタートアップへの転職支援に特化している。エンジェル投資家、顧問、社外役員としても活動しており、関わる企業は173社。識学など投資先企業8社と、創業から役員として関わったクラウドワークス、メドレーの2社が上場している。新卒ではインテリジェンスに入社。上場時のメンバーとして、ベンチャーから大企業への変化を身をもって体験した。自身も圧倒的な結果を出し、その後に独立。
高野秀敏