ネットの底なし沼が引き起こす「Brain Rot」状態とは?【脳腐れチェックリスト】
Brain Rotの特徴は? 当てはまったら陥っているかも
WikiHowによれば、Brain Rotが疑われる人の特徴としては、以下のような要素が挙げられるそうです。 SNSなどを通したインターネット上での交流が主な社会活動になっている。あるいはそのせいで実社会への適応が不十分となっている 語彙が主にSNS上で多用されるネットミーム(インターネットを通じて拡散される模倣的な言動)やネットスラングによって構成されている 集中力が散漫 批判的思考が苦手 フェイクニュースや陰謀論を信じやすい Brain Rotは社会問題にもなりつつある 上記の特徴をもつ人は、SNSをあまり使わない人との意思疎通が難しいだけでなく、世代間コミュニケーションにも疎い傾向があります。また、他者への共感力が欠如している場合もあります。 このような傾向があるため、職場で問題になるケースもあるとRedbrickは指摘しています。 さらに、「場の空気を読み、言語的に適応する能力がZ世代の若者から失われつつある」とも憂慮されており、正にいま社会問題になりつつあるのです。
Brain Rotはなぜ起こる? 人間の脳で起きていること
インターネットを使っている時間が極端に長いと、なぜBrain Rotという言葉に象徴されるような心身の変化が起こるのでしょうか。 これに関しては、スマホなどのデジタル端末が脳に与える影響を説いた名著『スマホ脳』(新潮新書、2020)からヒントを得ることができます。 著述家で精神科医でもあるアンデシュ・ハンセン氏によれば、人間の脳はそもそもデジタル社会に適応できていないのだそうです。 ここ数十年ほどで私たちのライフスタイルは急速に変化し、これまで人類が体験したことのない類のストレスにさらされるようになりました。絶えず怒涛のような情報の波に飲み込まれている私たちは、常にストレスにさらされています。そして、このような状況下では、脳は過覚醒状態になりがちです。 脳が過覚醒な状態にいる私たちは、「闘争か、逃走か」の選択肢しか見えなくなり、周囲に敵意を抱いたり、イライラしたり、不安に駆られたりすることが多くなります。 しかし、長らくこのような臨戦体制に入っていると、やがてエネルギーが尽きてバーンアウトしてしまい、今度は逆に落ちこんだり、引きこもったりしてしまうのです。 さらに、スマホアプリ・ゲーム・SNSなどは、満足感や快楽を与えてくれるドーパミンを放出させるように巧妙に設計されており、脳の報酬システムを刺激し続けます。 そのために、ストレスを感じていたり、疲れていたりするのにも関わらず、私たちはデジタルデバイスを使い続けてしまうのです。 場合によってはスマホやSNSから離れられなくなり、行動依存症を引き起こすこともあるとハンセン氏やNewport Instituteは警告しています。 若者の問題に留まらない「Brain Rot」 これは決して一部のTikTokユーザーに限った話ではありません。 大人は平均して1日のうちおよそ4時間をスマホに費やしているそうです。さらにそれ以上の時間を会社や自宅のPCの前で過ごしている方も多いのではないでしょうか。 あなたのスクリーンタイムは、1日合計何時間でしょうか。もし仕事日の大半をパソコンやスマホと睨めっこしながら過ごしているのなら、Brain Rotは決して対岸の火事ではありません。