ワクチンを打つと不妊になる、流産するって本当? 専門家が解説
接種するリスクと接種しないリスク
妊娠中に接種を考えている方は、ワクチンを打ったらどうなってしまうんだろうと、「ワクチンを接種するリスク」に目を向けがちです。しかし、なんとなく怖いから何もしないという選択をした場合も、リスクはゼロではありません。「ワクチンを接種しないリスク」についても、忘れてはいけないと思います。 ワクチンを接種していない妊婦さんが、コロナに感染してしまった場合は、重症化リスクが高いと世界的に報告されています。妊娠中は、赤ちゃんが物理的に横隔膜を押し上げているので、肺活量自体が低下しています。そのため、コロナに限らず、肺疾患というものはどんなものでも、重症化リスクが高くなってしまいます。 妊婦さんがコロナに感染してしまった場合、集中治療や人工呼吸器が必要になるリスクは3倍高いといわれています。また、亡くなってしまうリスクも、1.7倍高いという報告があります。また、重症化してしまうと、早産のリスクが高くなったり、お腹の中の赤ちゃんへの悪影響があるというデータもあります。
こういった「ワクチンを接種しないリスク」を、無視することはできません。しかし、毎日いろんな不安や身体的な大変さの中も頑張っていらっしゃる妊婦さんが、さらに無理をしてまでワクチンを接種する必要はないと、私は考えています。妊婦さんとその周囲のみなさんは、感染予防に気を配り、妊婦さんがコロナウイルスに感染しないことを目的に生活していっていただければと思います。 記事監修:こびナビ 新型コロナワクチンに関する正確な情報を届けるプロジェクト 解説者:内田舞(うちだまい) こびナビメンバー ハーバード大学助教授 小児精神科専門医 北海道大学医学部卒。在学中にイェール大学研修医プログラムにマッチし、卒業と同時に渡米。イェール大学病院で成人精神科レジデンシー、ハーバード大学・マサチューセッツ総合病院小児思春期精神科フェローシップを経て、2013年よりマサチューセッツ総合病院小児精神科指導医。現職はハーバード大学医学部助教授、マサチューセッツ総合病院小児うつ病センター長。小児精神疾患の診察と治療、子供の感情や思考に関する脳画像研究、子どもと家族の健康に関わる教育を専門とする。