ワクチン接種に不安を抱える妊婦を守る「コクーン戦略」 専門家が解説
ワクチンを接種しても、妊娠・出産に悪影響はない。これが科学的に正しく検証された事実だとしても、実際に妊娠中の人々にとって、ワクチンを接種する判断をすることは容易ではないのが実情だ。 そこで、新型コロナウイルスに関する正確な情報を届けるプロジェクト「こびナビ」のメンバーである、内田舞(うちだまい)医師にお話を伺った。妊娠中にワクチンを接種し、今年の二月に出産を経験した内田医師は、「妊婦の周囲の人々がワクチンを接種することで、非接種の妊婦を守ることができる」と発信している。(Yahoo!ニュース Voice)
妊婦がワクチン接種を不安に思うのは自然
私自身が経験したことだからこそよく分かるのですが、コロナ禍における妊活、妊娠は、特に不安が大きいと思います。「ワクチン接種は妊娠に悪影響を及ぼさない」という科学的解説を聞いて私のように接種しようと思う方もいれば、何度見聞きしたとしても、その論理に気持ちがついていかないという方もいらっしゃるはずです。 その場合、感染リスクが低い地域に住まれている方や、感染リスクが低い職業に就かれている方は、不安な気持ちに正直になってもいいのではないでしょうか。
妊婦は周りにいるみんなで守る
妊婦さんが、ワクチンを接種しないという選択をする時。妊婦さんと、お腹の赤ちゃんを守る責任は、妊婦さんだけのものではありません。パートナーの方、産婦人科医療に関わる方、同業者の方。そういった、妊婦さんの周りを囲む人たちが、ワクチンを接種することによって、妊婦さんを守ることに貢献できます。これを「コクーン戦略」と言います。「コクーン」とは、日本語で「繭」を意味します。守りたい人の周りに、防御の繭を作るイメージです。 「コクーン戦略」の良い例として、イスラエルの状況が挙げられます。 ワクチン接種を電光石火の勢いで済ませつつあるイスラエルですが、接種したのは今のところほとんど成人だけです。9割以上の成人がワクチンを接種した結果、ワクチンを接種していない子供たちのコロナ感染率も下がったという報告がされています。このように、ワクチンを接種できる人たちがみな接種し、感染予防をすることによって、ワクチンを接種できない方々の感染リスクを下げることができるのです。