「僕は一番叶えたいことは誰にも言わない」構想5年…菊池雄星が故郷・花巻に野球施設を建設したワケ「誰かの夢を応援するって楽しいじゃないですか」
小中学生がメジャーリーガーに接する機会も
夢の礎となった場所で子供たち、そして多くの選手たちの夢を応援したいという気持ちを5年越しに具現化した。 K.O.H.の未就学児、小学生、中学生向けの野球スクールでは野球に必要な体づくり、体の動かし方、プレー、考え方など様々なことを学んでいく。 子供たちが菊池、そしてほかのプロ野球選手たちの投打を間近で見る機会も今後は訪れるだろう。 ブルペンで150キロを超える球を投げたり、豪快なスイングなどを目にして、球場やテレビ観戦では分からない息遣い、投球のしなり、打球音にきっと驚かされるはずだ。 「おぉーーーー」 「すげーーー」 ネット越しに目を輝かせながらそんな言葉を発する小中学生たちの姿が目に浮かぶ。 ブルージェイズの春季キャンプでは、報道陣や関係者は捕手からわずか1mほど後ろから金網越しにブルペン投球を見ることができた。菊池の150キロを超える速球がバーンという音を立てながら捕手のミットに収まると、金網があるにも関わらず、後ろで見ていると体がビクッと反応した。 小学生たちもきっと同じような反応をするのでは、と尋ねると、「最初はうわっと思っても2、3日すれば慣れてきますし、慣れることが大事だと思うんです」と菊池。 その光景を想像すると菊池自身、ワクワクが止まらない。 多くの小中学生にとって菊池はテレビやネット越しのすごい存在だが、同じ場所で練習するうちに「メジャーリーガーの菊池雄星」から「すごいけれど優しくて面白い雄星さん」に変化していくだろう。
甲子園やWBCを応援する場所になれば
そして菊池やプロ野球選手たちが黙々と練習する背中を見て、すごい選手はあんな風に練習するんだ、僕も、私も頑張ろうと刺激を受けるはずだ。 「一緒に練習したお兄ちゃんがプロ野球選手になって一軍やメジャーで活躍したら子供たちの意識は変わるじゃないですか。自分の能力に制限をかけているのは自分だと思うので、あの人ができるなら僕もできるんだと思ってほしい。高いレベルの選手たちに触れる機会は(プロ野球の球団がある)仙台まではあっても岩手にはないですから。そういう子供たちにね、僕もできるんだって思ってもらえたら最高です」 また施設で練習した選手、そして子供たちを応援するような場所としても期待をする。 「ここで甲子園やオリンピック、WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)を皆で応援するなど、コミュニティの場所になればいいなと思う」 菊池の夢は形になり、次世代に繋がれていく。K.O.H.で。 <後編に続く>
(「メジャーリーグPRESS」及川彩子 = 文)
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