「僕は一番叶えたいことは誰にも言わない」構想5年…菊池雄星が故郷・花巻に野球施設を建設したワケ「誰かの夢を応援するって楽しいじゃないですか」
メジャーリーグを感じられる空間
「King of the Hill」は直訳すると「マウンドの王様」という意味だが、菊池は「この施設から試合を制する者を作りたい」という熱い思いから私財を投じて建設に至った。 「K.O.H.」という文字を見ながらエントランスをくぐると、菊池雄星がこれまで身を包んだチームのユニフォーム、メジャーリーガーたちのバットやユニフォームなどが飾られている。 1400平米の建物の右手にあるカフェエリアには菊池が2年前からコツコツと集めた現役選手や往年の名選手のサインボールやバットが並び、テレビモニターではメジャーリーグの試合が流れる。 モニターの上には「Take me out to the ball game! (私を野球に連れてって)」の言葉と共に5つの時計が並び、日本時間は花巻東、西海岸時間は菊池が最初に所属したシアトル・マリナーズ、山岳時間はコロラド・ロッキーズ、中部時間はヒューストン・アストロズ、そして東海岸時間はトロント・ブルージェイズと、それぞれの時間が一目で分かる。 奥にはウェイトトレーニング場にジャグジー、そして菊池のお気に入りスペースのサウナ。その横にはメジャーリーグの春季キャンプ地やクラブハウスに必ずあるヘアサロン(床屋)も設けられている。 ユーモアがあり、楽しいこと、おもしろいことが大好きな菊池の遊び心が随所に窺える。 建物左は、右手の緩やかな雰囲気から一転、野球のスペースになる。
「僕がワクワクする空間にすれば…」
2人が同時に投げられるブルペン、打撃ケージだけでも圧巻だが、視線の動きを検知し解析する『アイトラッカー』、投打の詳細なデータを計測できる『トラックマン』をはじめ、投打の解析のためのカメラや機器がずらりと並ぶ。 「一流のものに囲まれて練習してほしいし、日本一メジャーのグッズなどが集まる場所にしたいと思いました。僕がワクワクする空間にすればメジャーリーグを見たことがない方たちは必ずワクワクするものになると思って」 菊池が参考にしたのは2022年から在籍したトロントブルージェイズのフロリダにある春季キャンプの施設で、K.O.H.の設計などに関わったスタッフもその施設を見学し構想を固めた。 「世界一になっているブルージェイズには規模的には及びませんが、多くの部分を参考にした」と笑顔で教えてくれたようにハード、ソフト面でメジャーリーグのエッセンスがふんだんに盛り込まれている。 K.O.Hに足を踏み入れると、メジャーリーグの春季キャンプのクラブハウスに迷い込んだような、そんな気分になることは間違いない。 メジャーリーグに行ってまもない時期から、このような施設の構想を持っていた。そしてそれは第二の故郷である母校花巻東の側にと思い続けていた。 「父から『メジャーリーグに行っても岩手のことを忘れるな』と言われていたのが常に頭にありましたし、花巻東に行かなかったら、今の僕はなかったと思います。監督には夢や目標を立てること、そしてそれが現実的になったら、さらに上げるように言われてきました。入学時には『ドラフト1位でいくぞ』と、1年生の夏で甲子園に出てからは『メジャーに行くぞ』と、常に夢を更新するように言われました。それが今でも僕の考え方の基になっています」
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