江川は「真剣に投げてない」 通算10HRとカモも…“日本記録保持者”が見た伝説投手の憧憬
宇野勝氏は4年目開幕前に顎を骨折…打球が直撃した
アクシデントを乗り越えた。元中日内野手の宇野勝氏(野球評論家)はプロ4年目の1980年に初めて規定打席に到達した。121試合に出場して打率.245、12本塁打、44打点。オープン戦終盤の練習中に顎を骨折し、開幕に間に合わなかったが、4月中旬に治りかけ状態で1軍昇格して好結果を残した。シーズン1号は4月17日の巨人戦(ナゴヤ球場)。巨人の怪物・江川卓投手から放った満塁アーチだった。 【画像】原前監督がマウンドつめより…江川氏に“ツッコミ” わずか3球でKOの珍事 高卒3年目の1979年、21歳で遊撃レギュラーの座をつかんだ宇野氏は勢いに乗っていた。「4年目(1980年)はオープン戦から絶好調だったイメージがある」。そんな時にまさかの出来事が起きた。「オープン戦終盤に後楽園球場で日本ハム戦があって、確か高橋一三さんから3本くらいヒットを打ったと思う。その次の日だよ。先発が鳴り物入りで(日本ハムに)入った木田(勇)さんということで、前の日から『明日投げるらしいぞ』と言われていたんだけどね」。 木田勇投手は社会人野球・日本鋼管から1979年ドラフト1位で日本ハム入りした左腕。1978年、1979年のドラフト会議で、2年連続3球団がドラフト1位で競合したことでも知られる(1978年は交渉権を得た広島を入団拒否)。そんな話題の投手との対決に腕を撫して球場入りした宇野氏だが、「その日の練習中に誰かの打球が顎に当たったんだよ。後ろから(中日投手コーチの)稲尾(和久)さんの『危ない』って声が聞こえたけど、当たってしまった……」。 それでも当初は軽症と思ったという。「とりあえず病院には行ったんだけど、当時そんなに詳しいレントゲンとか撮らずに大丈夫みたいなことを言われたしね。でも名古屋に帰って、ものを食べようとしたら痛いのよ。歯が痛く感じて歯医者に行ったら『これは歯じゃないよって、折れているんじゃないの』って。で、顎骨折だった。無茶苦茶、絶好調だったのに、それで開幕に間に合わなくなったんだよ」。