1日8時間労働は健康に悪影響?「週5日32時間労働」のススメ
1900年代初頭、ヘンリー・フォードは工場労働者に対して週休2日の付与をはじめましたが、これは当時としては画期的なことでした。 近年、フォードを含む自動車メーカー各社は、国に先駆けて1週間の労働時間を巡る新たな改革を推進する機会がありました。 全米自動車労組は契約交渉で大勝利を収めましたが、特に賃金面において先駆けとなったであろう週32時間労働という当初の要求は見送られました。
進化する労働時間
ここ数年、世の中は、より短い労働時間へと舵を切ろうとしています。私たちも週4日制を採用あるいは実験的に導入した企業を数多く取材してきました。 企業によっては、月曜から木曜まで長めの勤務時間を設ける代わりに金曜を休日とするところもあります。 しかし40時間の労働を4日に詰め込むのは、燃え尽き症候群につながり、せっかく増やした休日のメリットを帳消しにしてしまうということをほとんどの企業では認識しています。 米国内でも、カリフォルニア州のマーク・タカノ下院議員は2023年3月、週32時間労働を全国標準とし、残業手当が支払われる基準を大方の従業員について引き下げる法案を再度提出しました。 この提案は公正労働基準法を改正し、週32時間労働を全国標準とすることを主眼としていますが、週4日労働を望ましいモデルとして規定するべきと考える人も多くいます。 私自身は、上記がベストな解決策だとは考えておらず、むしろ1日6時間労働を5日という方向を目指すべきだと考えます。 以下にその理由を述べます。
毎週週休3日だったら?
これまでも大きな変革は行なわれてきましたが、この週4日制は企業にとっては業務上多くの課題を突きつけることになります。 一例を挙げてみましょう。 カスタマーサービスを週3日は休業にするのか? 病院も週3日は休診に? 休みの日に対応するために別の従業員を新たに雇い入れる? それも不可能ではありませんし、企業や業界によってはむしろ望ましい場合もあるかもしれませんが、当面は不便も発生するでしょうし、反対の声も多く聞かれるかもしれません。