日本の化粧品大手、中国の消費減速や現地メーカー台頭で苦戦…グローバル・サウス開拓の動きも
日本の化粧品大手が中国市場で苦戦している。かつては高い成長が見込める市場として重視してきたが、不動産市況の悪化に伴う消費減速に加えて、現地の化粧品メーカーの台頭もあり、売り上げが減少している。新たにグローバル・サウスなどで市場開拓を目指す動きも出てきた。(岡田実優) 【表】一目でわかる…化粧品大手の中国での苦戦ぶり
中国事業「かつてほどの急成長見込めず」
「かつてほどの急成長は見込めない」。資生堂の藤原憲太郎社長は11月下旬、2026年までの2か年計画の発表会で、中国事業の伸び悩みに言及した。
資生堂の24年1~9月期連結決算(国際会計基準)は、中国事業の売上高が前年同期比2・4%減となった。特に中国人が国内でも免税制度を使えるリゾート地・海南島は化粧品の一大消費地だが、売上高は30%超も減少した。
この影響で、24年12月期の連結業績予想の最終利益を従来予想から160億円少ない60億円に下方修正した。藤原氏は「中国は中長期的に見れば巨大な消費市場。提供できる新しい価値はまだたくさんある」と述べたが、具体的な打開策には触れなかった。
人気高まる中国発ブランド、輸出額は3年で半減
資生堂は長く中国事業を「成長エンジン」と位置づけてきた。1981年から中国の国営デパートなどで販売を開始。中国専用ブランド「オプレ」が過去の五輪で中国選手団の公式化粧品に認定されるなど認知度は高い。2017年12月期の売上高は1兆円を超えた。
だが、22年頃から不動産市況の悪化の影響で消費が鈍化。さらに「花西子(フローラシス)」や「ズーシー」といった中国発ブランドの人気が高まった。「若年層を中心に自国品を使おうとする動きが強まり、消費低迷と中国ブランドとの競争激化というダブルパンチとなっている」(化粧品大手幹部)との声も上がる。
資生堂以外の大手も同様だ。コーセーや花王の24年1~9月期は、中国を含むアジアでの売上高が前年同期比で2割以上も減少。ポーラ・オルビスホールディングスの7~9月期も中国での不調が響き、海外売上高が10%減となった。