1日8時間労働は健康に悪影響?「週5日32時間労働」のススメ
1日8時間労働は健康に悪影響?
それよりもまず1日の労働時間を減らすことを検討するべきでしょう。 すでにアメリカ人は、世界の大半の国の従業員よりも年間平均で200時間も多く働いているという現状があります。 今日の私たちの働き方の多くは、200年前の産業革命の副産物です。 1日8時間労働が最適だという科学的根拠は存在せず、ただ単に18世紀頃、効率的に工場を運営するために決められたものです。 事実、1日8時間以上座っていると健康上の問題を引き起こすという研究は数多く存在し、喫煙と同じくらい健康に悪いと言われています。 さらに人間は一度に25分以上は集中力を保てないことも証明されています。 1日8時間は顔を合わせる時間を設けて自分が生産的に働いていることを示さなければと義務的に感じている社員は、仕事をするふりをしたり、瑣末な業務に時間をかけたりするようになります。 これに関する統計には幅がありますが、平均的な従業員の1日の生産性はあらゆる業界において60%以下、ホワイトカラーの場合はそれよりさらに低いと言われています。 ある調査によると、平均的な会社員の生産性は毎日わずか2時間23分とのことです。 つまり、毎日5時間以上、見せかけの仕事やムダな時間を過ごしていることになります。
別の理由でワークライフバランスに有効な解決策
週5日の32時間労働と週4日労働は、ほとんど同じようなものに聞こえるかもしれませんが、前者は現在の労働構造が抱える別の負担を軽減できる可能性があります。 なかでも特に重要なのは、子どもの学校の時間と一般的な就業時間のギャップを解消することです。 アメリカでは、学校は通常午後2時から4時の間に終わるのに対し、働く親の7割の終業時間は夕方5時か6時です。 コロナ禍以降深刻化した保育事情の影響もあり、このギャップを補うには多大なコストがかかり、特に小学生の子どもを持つ親にとっては大きくのしかかっています。 ただ、有給休暇同様、1日6時間労働や週32時間労働へ移行できれば、働く親以外にもメリットがあります。 1日の自由時間が増えれば、すべての労働者のメンタル・身体の健康によい影響があるでしょう。 たとえば、睡眠について考えてみましょう。 アメリカ人の3分の1は十分な睡眠を取れておらず、これは健康状態を悪化させたり、頭の働きを鈍らせたりしています。