「令和の木都」復興へ 製材最大手中国木材が秋田・能代工場完成 県産材消費で再造林弾み
林業も機械・自動化が進むが、国内の山林の多くが急傾斜地で導入が難しい面もある。だが再造林しなければ、50年後には国産材を供給できなってしまうとも言われており、林野庁や各自治体は再造林を促すさまざま支援策を講じている。
■国産材へ回帰
中国木材の堀川保彦社長は「先人が育てた日本の山林を守ろうと平成16年から国産材事業に着手し、宮崎・日向や茨城・鹿島などに続く6番目の工場が能代。ここは豊富な森林資源で原木を安定確保できる」と強調。能代市の誘致担当者は「工場候補地として能代は最後に上がったが、県と一番熱心に誘致したことも同社に評価された」と喜ぶ。
堀川社長はさらに「住宅業界はウッドショックと円安による輸入木材不足・価格高騰で国産材へ回帰している」と指摘する。
ウッドショックは新型コロナウイルス禍を経た欧米やアジアの住宅需要急拡大によって引き起こされ、日本では円安が外材の価格高騰に拍車をかける。
能代市の斉藤滋宣市長は国産材回帰を見据え「中国木材には原木価格に再造林コストを上乗せしてもらい、造林や原木産出が安定すれば、能代の木材産業全体が活性化し、私が目指す令和の木都能代復興が実現する」と意欲を見せる。
40社・団体でつくる能代木材産業連合会の佐々木松夫事務局長は「大手進出は地元製材業者の脅威だが、雇用・資本投下増で地域全体が活性化する」とした上で、「〝能代の木材〟の知名度が上がれば地元業者の拡販にもなるので、共存共栄を目指して中国木材にも当会に加盟してもらった」と話している。(八並朋昌)