【松田浩(ガンバ大阪フットボール本部 本部長)インタビュー後編】組織改革で模索する『ガンバらしさ』とは。2024シーズン前半戦レビュー
サブとして100点満点の行動
――トップチームの2024シーズン前半戦についても聞かせて下さい。現在リーグ戦3位。好調要因として「中谷進之介選手、一森純選手ら新加入選手の活躍を中心とした堅守」や「主将・宇佐美貴史選手の復調」がよく報道されていますが、松田さんはどのように捉えていますか? 「(報道と)同じようなことを言ってしまいますが、監督の志向するサッカーを具現化できる選手が加入したことはやはり大きい。堅守に関しては、ビルドアップのミスによる失点が減っている。湘南(ベルマーレ)戦では相手のビルドアップミスで得点できましたけど、昨年は逆にガンバがああいうミスで失点を重ねていましたから。安易なミスからの失点が減ると拮抗した試合展開になって集中力が続く面もありますね」 ――ビルドアップ面では鈴木徳真選手の存在感が際立っています。 「彼の存在でビルドアップ時のポゼッションを維持できるというか、相手のプレッシングを剥がせるというか……ポヤトス監督のサッカーに本当にはまっている選手だと思いますし、そういう選手をしっかり獲得できたことは本当に大きなことだと思っています。戦術的にも、技術的にもビルドアップで安易にボールを失わないのは失点が減っている原動力なので」 ――現状の守り勝つスタイルは、理想とする「攻守に主導権を握る魅力的なサッカー」とは違うのかもしれません。ただ、今年は内容以上に結果を重視すると発言されていた通りの展開になっています。 「そうですね。湘南戦のあと、チームに『勝ったけど、内容はあんまり良くなかったね』と言ったら『いやいや、松田さんが結果を重視すると言ったんでしょ』と冗談交じりで言い返されました(笑)。昨年はスタイルの構築を強く意識して戦っていたようですが、プロの世界で結果を無視してはいけない。そこは始動時のミーティングで強調したところです」 ――攻撃面では宇佐美選手が好調です(18節終了時点で7得点3アシスト)。 「技術的なリーダーであることは間違いないですが、今年は精神的なリーダーとしてチームを牽引してくれています。それは倉田(秋)選手も同じです。ガンバのアカデミー育ちとしての残留争いが続く現状への危機感なのか、クラブ愛なのか、『ガンバ大阪としてあるべき姿じゃない』という意識を強烈に感じますね」 ――精神的なリーダーという面では、新加入の中谷選手、一森選手の影響も大きいと感じます。一森選手はレンタルバックですが、彼らがチームに即フィットできた要因をどう考えていますか? 「それは元々持っていた能力が高いということだと思います。一森選手は私が(ガンバ大阪で)監督を務めた2022年は出場機会があまりなかったですけど、サブとして100点満点の行動というか、リーダーシップを見せてくれていたんですよね、既に。だから、今の活躍には驚きはないです」