【松田浩(ガンバ大阪フットボール本部 本部長)インタビュー後編】組織改革で模索する『ガンバらしさ』とは。2024シーズン前半戦レビュー
アカデミーには『ガンバらしさ』を考え続けた歴史がある
――2024シーズンキックオフイベントで、定期的にフットボール本部の全部署が集まる「技術委員会」を開催すると話されていました。あらためて本会議の目的を教えてください。 「物理的にもクラブハウスでトップチームとアカデミーは部屋が仕切られているんですが、やはり膝を突き合わせて会話する機会が大切だろうと。お互いの考え方や活動を知ることで相互理解を深め、協議して決める。最初の会議ではユースの監督やコーチ、スカウト……皆が集まって、ポヤトス監督にサッカー観をプレゼンしてもらったり、逆に町中(大輔 ユース監督)には、ガンバでのキャリアが長いので『ガンバらしさ』をプレゼンしてもらったり。我々は(目指すスタイルとして)攻守に主導権を握るサッカーを掲げていますが、『じゃあ、スペインにおけるシメオネのサッカーはそれに該当するのか?』とか、お互いのサッカー観を理解し、認識を合わせることから始めています」 ――クラブとして、トップチームとアカデミーが同じサッカーを志向するマネジメントは簡単ではありません。 「そうですね。ここはアカデミー主導になっていくと思います。トップチームは直近の試合で結果を出すことを最優先で活動するので、中長期的なところに目を向けるのは難しい。私自身が(V・ファーレン長崎で)アカデミーダイレクターを務めていた時の経験的にも、アカデミー主導で進めないとなかなかスタートが切れないと感じています。アカデミーには『ガンバらしさ』を考え続けた歴史がありますし、その時その時でトップの監督の意見も参考にしつつ決定するようなプロセスをイメージしています」 ――「技術委員会」を通じて、トップチームとユース(アカデミー)の連携が深まっていけばいいですね。 「相互理解が深まれば、スムーズに『ユースの選手をトップチームの練習に参加させていいよ』とか『怪我人が多いからユースの選手を貸してよ』といったコミュケーションが生まれやすくなるはずです。クラブとしてユース選手の育成はより重視していきたいですし、将来的には定期的なトップチームへの練習参加など意図的にタレントの成長を促進させる仕組みもつくりたい。時には意見を戦わせながらクラブとして部署間の連携を深めて、ガンバとしてのフィロソフィーを確立させていきたいです」