「一つ一つ丁寧に取り組む」佳子さま、新たな挑戦となった“令和”の活動を振り返る
今後の進路と将来の夢
また、「今後の進路と将来の夢についてお聞かせください」などと聞かれた佳子さまは、次のように回答した。 《公的な仕事は以前からしておりましたが、卒業後はその機会が増えることになると思います。どのような活動に力を入れたいかについては、以前にもお答えしたことがありますが、私が何をやりたいかではなく、依頼を頂いた仕事に、一つ一つ丁寧に取り組むというのが基本的な考え方です。(略)将来の夢は、あくまでも夢ですので、以前と変わらず自分の中で温めておきたいと思っています》 大学卒業後は、大学院進学や留学はしないで、公的な活動などに専念した佳子さまは、この年の9月、初めての外国公式訪問として、日本との友好・外交関係樹立150周年となるオーストリアとハンガリーを訪れた。 9月15日、東京・羽田空港を出発した佳子さまは、最初の訪問国であるオーストリアの首都ウィーンに到着した。報道によると、ファン・デア・ベレン大統領を表敬訪問したり、ウィーン日本人国際学校で、英語の人形劇の練習をしていた生徒たちに「セリフを覚えるのは難しくないですか」などと、声をかけていた。 次にハンガリーを訪れた佳子さまは、アーデル・ヤーノシュ大統領を表敬訪問した。「ブダペストの景色はご覧になりましたか」と、大統領に尋ねられ、「とてもきれいでした」と、笑顔で答えたという。 また、世界遺産のパンノンハルマ大修道院などを視察し、25日に帰国した。「多くの方々により築かれてきた日本とオーストリア共和国、日本とハンガリーの友好関係が、これからも大切に、末永く引き継がれていきますことを心より願っております」などとする印象を発表した。その後もペルーや、今年のギリシャと外国公式訪問を着実に重ね、佳子さまは、国際親善の場でも大いに活躍している。 「本人にとってよい経験になったと私は思います。行く前にはずいぶん時間をかけて、その地域の専門の人から話を聞き、また本を読んで下調べをずいぶんやっていたという印象があります。 また、これは実はその海外の訪問のときに限らずですね、国内で何か行事に出席するとか、あとは海外から来られるお客様に会う前とか、そういうときの事前の調べものというのは、もともとがまじめな性格なのかもしれないですね、よくやっているなという印象を、私は持っています。引き続き、そういう一つひとつを大事にするという気持ちを持っていってほしいなと思います」 2019年11月20日、54歳の誕生日を前にした記者会見で秋篠宮さまは、佳子さまがオーストリアとハンガリーを公式訪問した感想を聞かれこのように娘を高く評価した。「もともとがまじめな性格」という父親の言葉どおり、華やかな容姿の佳子さまは、コツコツとまじめに勉強を積み重ねる努力の人でもある。 この会見では珍しく父親が佳子さまに、「何か一つですね、(略)彼女のライフワークとして持てるものというものがあるとよいのではないかな」と、チャレンジを促している。令和となり、秋篠宮さまも皇位継承順位第一位の皇嗣という、より重い立場に代わった。 秋篠宮さまと佳子さまの新たな挑戦の時代でもある令和も、今年で6年となる。 <文/江森敬治> えもり・けいじ 1956年生まれ。1980年、毎日新聞社に入社。社会部宮内庁担当記者、編集委員などを経て退社後、現在はジャーナリスト。著書に『秋篠宮』(小学館)、『美智子さまの気品』(主婦と生活社)など