札幌 ペトロヴィッチ監督 監督業からの引退示唆 新監督に岩政氏が最有力
◇明治安田J1リーグ第37節 札幌1―5広島(2024年12月1日 Eピース) コンサドーレ札幌のミハイロ・ペトロヴィッチ監督(67)が1日、監督業からの引退を示唆した。11月30日に来季のJ2降格が決まって迎えた試合は、敵地で広島に1―5で完敗。8日の今季最終節・柏戦(プレド)が、監督としての“ラストマッチ”になる可能性が出てきた。 J2降格決定で迎えた難しい戦いは、FW鈴木が前半42分に同点弾を決めたが、その後の4失点で完敗した。ペトロヴィッチ監督は神妙な面持ちで「(来季)札幌を率いないことは確定している」と断言した上で「95%、監督としてのキャリアを終える。まだ確定ではないが現段階の気持ちだ」と言葉を重ねた。 指揮官は06年に広島で日本でのキャリアをスタート。日本に可変式システムを持ち込み、超攻撃的なポゼッションサッカーでJリーグを席巻した。元日本代表DF槙野や、この日引退セレモニーを行った広島時代に指導した元日本代表MF青山ら数多くの若手を見いだし、16年には浦和でルヴァン杯優勝。札幌では就任初年度の18年リーグ4位と19年ルヴァン杯準優勝と、ともにクラブ最高成績を残した。 持病の腰痛と重圧もあり、近年は心身ともに満身創痍(そうい)の状態で「札幌で監督生活を終えられたら幸せだ」とも話していた。新監督には、元日本代表DFで鹿島元監督の岩政大樹氏(42)の就任が最有力となっている。就任7年目の長期政権の最後は降格という形で終わることになるが、ペトロヴィッチ監督は「自分に責任がある。この7シーズンでクラブは大きくなった。毎年の積み重ねと成長は必ずJ2での戦いに生きるし、来年はJ1昇格をつかみ取れる」とエールを送った。 J1で歴代最多593試合で指揮を執り、246勝を挙げてきた名将は「記録は気にしないが600試合はもう少しなので達成したかった」と笑みを浮かべた。札幌監督としての姿は残り1試合。「どのクラブでも若い選手を育ててきた自負がある。敵地でかつてのクラブの方々が温かく迎えてくれたのは幸せだった。それを思うと私の仕事は悪くなかったのかなと」。今後の去就を前に、ラスト1試合に集中する。(青木 一平) ○…浦和時代の16年からペトロヴィッチ監督の下でプレーしてきたMF駒井は、恩師の引退示唆に「(クラブが)うまくいかなかった時の監督にさせてしまった。だからこそ、現役監督最後になるかもしれない試合は勝利で飾ってあげたい」と柏戦勝利を熱望した。試合後、あいさつに向かった選手にサポーターからは強い叱咤(しった)激励が飛んだ。「“強いとか弱いじゃなく、このクラブが好きだから応援している”という熱い言葉は胸に響いた」。常に主力としてプレーしてきた男は、責任を胸に最終節に臨む。