増える〝お悩み相談コンテンツ〟相談する側として大切なことは…専門家ではない回答者も
増える〝お悩み相談コンテンツ〟
水野:おふたりに聞いてみたかったのが、最近のお悩み相談コンテンツについてです。個人のSNSでも相談を受けつけるサービスがありますし、コンテンツがすごく増えていると思います。 YouTubeやポッドキャストでも視聴者やリスナーの方からのおたよりを受けて相談に乗ることが多くなっていると感じます。コンテンツ化の流れをどう捉えていらっしゃいますか? 清田:ショート動画でも視聴者から来た声に答えるコンテンツがたくさんありますね。 向こうからやってくるお題に打ち返すだけですから、作りやすいのだと思います。 ただ、人生相談はずっと昔からあるコンテンツです。それ自体は新しい現象でもなく普遍的なコンテンツで、人々の些末なモヤモヤとか、今までは全然取り上げられなかったものが、SNSやメディアが多様化することで見えてきたのはすごくいいと思うんですよ。 水野:ずっとニーズがあるということでもありますもんね。 清田:ただ、「モヤモヤ」などひとつのフレーズが流通すると、今度はその反動のようなエネルギーが生まれてしまうとは思います。 「モヤモヤ」というフレーズが誰かの気に障るくらい広まったから、「モヤモヤってよく聞くけどどうなの?」となったんじゃないかな、と。しかし、そこには負けないでどんどんモヤモヤを言っていこうという気持ちはあります。 連続テレビ小説「虎に翼」では「はて?」という言葉がありましたが、あれだって「モヤモヤ」と同じことですよね。 水野:心の引っ掛かりですもんね。「はて?」というのは。
回答者の資質が問われる
清田:いろんな言葉でひっかかりや不快感、言語化や感情未満の感覚を外に出せるのはいいことだと思います。 一方、回答する側がどのようなことを伝えるのか。言い切ったり、あおってしまったり、専門家でもないのに軽率な助言をしてしまったり、そこに問題はあると思うので難しいですよね。 みたらし:本当におっしゃる通りです。モヤモヤがコンテンツ化されて、いろんな人が自分の思いを吐露できるようになるのは私もすごくいいことだと思います。 共感できる人同士で支え合うことが日本では意外と足りないので、ピアサポートのような文脈でSNS上でも広まっていくといいなぁと。 その一方で、清田さんが指摘された通り、回答する側の〝暴力性〟を忘れてはいけないと思います。 特に文字媒体での質問への回答は、相談者さんが反論できません。回答者がものすごく力を使って想像して答えていく必要がありますが、多くの人がそれをできているかというと、言い切ってしまったり、決めつけてしまったり、自己責任論のように回答してしまったりするケースもあると思います。 カウンセリングはSNSにあふれているお悩み相談と同じことをしていると思われやすいんですよ。聞いてるだけのように捉えられてしまう。 「カウンセリング」は名称独占ではなく誰でも使える言葉なので、臨床心理士・公認心理師ではなくても使えてしまうんですよね。 水野:うーん。なるほど。 みたらし:あいまいなものなので、やはり専門家に相談したほうがいいこととそうでないことの線引きは、回答する側も、相談を投げる側も判断できるようになるといいなと思いますね。 ▼イベントのアーカイブ配信はこちら(11月19日まで視聴できます) https://www.youtube.com/live/Z3i7MEwPVNk?si=tO2t_lG0mukd7WV0&t=9318