増える〝お悩み相談コンテンツ〟相談する側として大切なことは…専門家ではない回答者も
モヤモヤの言語化は難しい
水野:モヤモヤは言語化が難しい方もいらっしゃいますか? みたらし:いると思います。感情ですら言語化できない方が多いのに、感情になる前の原始的な快・不快、モヤモヤを言語化するのはさらに難しいのではないでしょうか。 少し知識的な話になってしまいますが、喜びが一次感情であるのに対して、怒りは二次感情(何らかの感情・一次感情が発生したあとに生じる感情のこと)と言われています。一次感情までたどり着かないと、怒りが解体されていかないんですよね。 無理に解体する必要もありませんが、解体したいときは一次感情を見つけなければいけない。でも、自分がなぜ怒っているのか。寂しいから、悔しいから、不甲斐ないからなど複合的に合わさっているものをすべて言語化できるわけではありません。 水野:カウンセリングにいらした方で、自分のつらさなどを説明しづらい方はどうするのでしょうか? みたらし:人によって異なりますが、例えば、「その場では話せないからお手紙を書いてきてもいいですか?」と言われる方もいらっしゃいますし、メモのようなものを書き合って2人で筆談する場合もあります。 私は芸術療法が専門なので、風景構成法という、今の自分の気持ちを絵で表現するというコミュニケーションを取ることもあります。
「聞く」と「聴く」
水野:清田さんの場合は、相談を受けるとなるとおたよりが一番多いのでしょうか? 清田:直接聞くこともありますが、「悩みのるつぼ」はおたよりです。 テキストの場合、追加質問ができません。書かれてあることがすべてなので、深読みしようとはせず意味通りに読みます。 「悩みのるつぼ」では、「この人は今こういう状態なのだろう」ということを「現在地」と表現しています。 その上で、「ここから先は想像になりますが」と話を展開していくことはあります。書かれている内容をきちんと意味通りに捉えることは大事ですよね。 水野:相手の意図を読み取るのは大変ではありませんか? 清田:そうですね。臨床心理の世界では当たり前のことかもしれませんが、臨床心理士の東畑開人さんが、「きく」という字を、門構えに耳の「聞く」と、耳編の「傾聴する」の「聴く」に分けて捉えていました。 「聞く」は文字通りに聞く。行間を読んだり奥にある感情を読み取ったりするのが「傾聴」の「聴く」だと。 奥深そうなのは「聴く」ですが、まずはその言葉通りに「聞く」ことが大事というようなことを著書に書かれていました。 みたらし:確かにそうだと思います。みなさんおそらく「聴く」のほうでやろうとしますが、結局は自分のバイアスがかかってしまう。まずは「聞く」が大事です。 水野:私も「聞く」つもりでいるのに自分の考えをバシバシ入れて、そのまま聞けていないことは結構ある気がします。