可能な限り幅広い合意形成図られるよう取り組む-石破首相が年頭所感
(ブルームバーグ): 石破茂首相は1日に発表した年頭所感で、外交・安全保障、日本全体の活性化、治安・防災を三つの重要政策課題として挙げ、自由民主党と公明党の連立を基盤に「可能な限り幅広い合意形成が図られるよう」取り組むと述べた。
外交・安保では、ロシアのウクライナ侵略や北朝鮮のミサイル発射など、国際情勢が緊迫化する中、外交と防衛を車の両輪に国益を守ると強調。人口減少で低下している地域や経済の活力を取り戻すため、東京一極集中の是正、「賃上げと投資がけん引する成長型経済」への移行などに取り組む意向を示した。さらに、災害に帯する最大限の備えとして2026年の防災庁設置などへの意気込みも強調した。
少数与党として迎える25年は、予算案成立に向けた野党との協議や夏の参院選が控えている。海外に目を転じれば、米国の政権交代に伴う余波も想定される。「内憂外患」を抱え、引き続き難しい政権運営を迫られる見通しだ。
12月末に閣議決定した予算案の成立に向けては、国民民主党や日本維新の会が賛成の条件としてそれぞれの政策を掲げている。約28年ぶりに修正された補正予算案に続き、修正が必要となる可能性も指摘される。参院選を前に、予算成立に向けて野党の意向と協調姿勢を取りながら低迷する内閣支持率を回復できるかが焦点となる。
衆参同日選挙の可能性も浮上する。石破首相は28日の読売テレビ番組で、予算案や重要法案が否決、内閣不信任決議案が可決された時には国民に決めてもらうことが大事だと述べ、「同時にやってはいけない決まりはない」と衆参同日選挙の可能性も否定しなかった。一方、29日のTBS番組では国民など野党と連立政権を組む可能性を否定。あくまでも「その都度、どのぐらい多くの党に賛同していただけるか」だと述べた。
政治基盤が不安定な中、今月20日にはトランプ氏が米国大統領に再び就任する。新たな関税政策の導入や在日米軍の駐留経費負担の見直しなどに向けた備えが求められる。石破首相は2月以降に訪米し首脳会談を行う調整に入ったと、日本経済新聞が12月30日に報じた。1月9日から12日にはマレーシアとインドネシアを訪問し、関係構築や連携強化を確認する予定だ。
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Akemi Terukina