セブン―イレブン、造船所に小型店舗提案。レジ待ちゼロ。構内の一角で街中と同水準サービス
セブン&アイグループでコンビニエンスストア事業を展開するセブン―イレブン・ジャパンは、国内造船所に向けて「コンパクト店舗」の提案を進めている。同店舗は「セブンスマホレジ」決済を採用することで混雑時にもレジに並ぶ必要がなく、限られた休憩時間を有意義に活用できるのが特徴。小規模ながら多彩なサービスを提供できるため、既に複数の造船所が福利厚生の一環として導入を検討し、前向きに交渉を進めているようだ。 国内造船所は現在、他業種との人材確保競争の渦中にあり、人材の確保・定着に向けた快適な労働環境の構築が目下の急務となっている。この中で、造船所は従業員数や敷地面積に対して売店の規模が小さく、限られた休憩時間で利用しにくいという声があった。 一方で造船所では、休憩時間は多くの利用者で混雑するものの、それ以外の時間帯は閑散とすることから店舗運営が難しく、売店の規模を縮小せざるを得ない面があった。 セブン―イレブン・ジャパンリクルート本部店舗事業開発部の須賀裕哉マネジャーによると、大島造船所が三菱重工業から香焼工場(長崎市)を取得したことをきっかけに、コンパクト店舗の香焼への出店を提案。これを皮切りに国内造船所に向けた営業を始めたという。 セブン―イレブンは造船所では唯一、大島造船大島工場(長崎県西海市)構内で通常店舗を運営している。大島造船は香焼を大島と同様の環境にとするため、香焼への出店を検討したが、開所直後には通常店舗の出店基準を超える利用者数が見込めなかった。 そこでセブン―イレブンは、従業員500人規模の工場やオフィスを対象とするコンパクト店舗を提案した。同店舗はセブン―イレブンが展開するおにぎりなどの軽食、ペットボトル飲料をはじめ、1200種類以上のトレンドを取り入れた商品を販売できる。 さらに要望に応じて、たばこや切手の販売のほか、コーヒーやカフェラテなどを購入できる「セブンカフェ」マシンやセブン銀行ATMも設置可能。街中のコンビニエンスストアに劣らないサービスを、構内の一角で実現する。 運用面では「セブンスマホレジ」の採用により人件費を抑えるほか、営業時間は構内従業員の出勤前後や休憩時間に合わせて設定できることが利点だ。 また、設置基準を満たす場合など、セブン―イレブン商品を扱う「セブン自販機」も構内に設置できるケースもあるという。岸壁に係留中の船内で艤装作業などを担当しているため、売店が遠く不便を感じていた従業員にも、幅広い商品を届けることが可能になる。 「コンパクト店舗を活用してもらうことで、造船所の人材確保・定着に少しでも役に立ちたい」と須賀氏は語る。大島造船香焼工場内の店舗は今年秋ごろの開店を目指し、準備を行っている。セブン―イレブンは今後、国内造船所をはじめとしたさまざまな施設でコンパクト店舗の出店を拡大していく方針だ。
日本海事新聞社