「停止しないために壊す」 カヤバ(KYB)のモータースポーツに特化した新世代のパワステ「S-EPS」とは
求められるEPSによるアシストの強化
競技の世界では盤石に見えるS-EPSですが、すでに将来を見据えた開発が終盤にかかっています。技術開発の場である競技では車両の性能向上は目覚ましく、コンストラクターやチームからはさらなるパワーアップが求められることも増えています。 その要求に応えるべくEPSから繰り出せる出力の抜本的な解決を目指して、使用する電圧を12Vから48Vにするなど、アシスト量を上げるようにしているといいます。EPSの48V化は容易ではないそうで、48V専用モーターに48V専用バッテリーも開発し、合わせて48V非対応車両に搭載可能なDC-DCコンバーターも開発されています。 さて、そんな新世代のEPSが搭載されるのはどんなマシンなのでしょうか。同社は、競技の世界の開発速度は極端に速く、3カ月から1年で要求に応えなければ最高のものは届けられないといいますが、おそらく来シーズンはトップチームに機能向上をしたカヤバのEPSが搭載されることになるでしょう。 普段は見ることができないEPSの世界ですが、説明を受ければ受けるほど面白いものでした。電動化の波はモータースポーツの世界にも押し寄せていたようです。
日下部保雄