広告・お笑い・プロレスに共通する「穏やかで洗練された洗脳」
先週、「新しいMacBook Proのセッティングに3日間かけた」と書いたが、これはとりあえず仕事ができる環境を作るという意味だった。こまこまとしたセッティングはその後も続いている。 これまで使ってきた12年物のMacBook Proには4TBのSSDが入っていたが、新しいMacBook Proには1TBのSSDしか入っていない。Appleストアでは4TBも選択できたのだが、予算に比して高すぎた。 Macintoshの値付けは、メモリーとストレージを大きくすると、ぐっと価格が上がるようになっている。しかも今のMacBook Proはクローズド・アーキテクチャーで、後から自分でメモリーやストレージを交換して増やすことはできない。可能な限り長く使うことを考えると優先すべきはストレージよりはメモリーだ。 というわけで1TBのSSDを選択したのだが、これでは手持ちの全データを保管することはできない。外付けの記録媒体が必要になる。今ならUSB接続のソリッド・ステート・ドライブ(SSD)一択だろう。手持ちのデータで容量が大きいのは写真と音楽のデータだ。2003年以来の21年分の写真データが約1TB、手持ちのコンパクト・ディスク(CD)を自分でリッピングした音楽データが800GBほど。 「なんでそんなに音楽データをため込んでいるのか」と言われそうだが、2008年に今や懐かしの機械となってしまったiPodを買って、手持ちのCDのリッピングを始めた時に、コーデック(音声データの容量を小さくする圧縮法)として、ファイルサイズがぐっと小さくなる非可逆圧縮のMP3やAACではなく、可逆圧縮のApple Losslessを選んだためである。非可逆圧縮では音質が劣化するといってもほとんど人間の耳には分からない程度だ。だが……なんというか非可逆圧縮では「手持ちのビット資産が目減りする」ようで嫌だったのである。当初は音楽データがストレージ容量を圧迫して四苦八苦したが、今はストレージの大容量化が進んだのでそんなことはない。 ムーアの法則さまさまである。 ●「すごい、目が追いつかないぞ!」 今後の余裕を考えれば、4TBの外付けSSDを買って常備するのがいいだろう。併せて手持ちのHDDを使ってバックアップの体制も組めばいい。 ネットで4TBの外付けSSDの価格を調べる。「え、こんなに安いの?」というものもあるが、そういうのは信頼性がないと考えて排除。どうやら4万円台半ばぐらいからありそうだ。転送速度が高いとか、他製品よりもコンパクトというような特色を持つ製品は高い。写真と音楽ならそれほど高い転送速度は必要ないので、5万円も出せば満足な製品を買えそうだ。 ひょっとして、パーツとしてSSDだけを買って、適当なケースに入れたらもっと安くなるのではないか、とこちらも価格を調べてみた。こちらだと3万円ほどから、4TBのベアボーンSSDが手に入ることが分かった。ケースが数千円なので、3万円台半ばで4TBの外付けSSDが買える。これでもいいな。ただしトラブルが出たら自分で解決しないといけない。 ずいぶんと安くなったな、と思う。旧MacBook Proは、2017年に2TBのSSDに、2021年に4TBのSSDに入れ替えているが、当時はケースに入っていない単体のSSDがそれぞれ6万円ほどした。それが今は4TBの単体のSSDが3万円ちょい。ケースに入ったメーカー謹製外付けSSDが4万円台半ばで手に入る。 これまたムーアの法則さまさまである。 「米は上がる、凧も上がる、上がらないぞえ中島飛行機」ではないが、情報環境は今もムーアの法則のままに進歩し続けている。2年で2倍が4年で2倍になっても指数関数的進歩であることには変わりない。 1989年に初めてパソコン通信(ネットではない)を使い始めた時、手元にあったのは電話回線を通じて1200ビット/秒のデジタル通信を行うモデムだった。ホストが送ってくる文字データは、目で追って読める速度でディスプレーに表示された。その後モデムの伝送速度は56kビット/秒まで向上し、私たちは「画面に文字が表示される速度に、目が追いつかない!」と喜んだのだった。