対峙する石破首相と国民・玉木代表 以前は〝相思相愛〟「ほんわかタイプで国家観も合致」
石破茂首相(自民党総裁)と国民民主党の玉木雄一郎代表は11日、党首会談で対峙する。少数与党率いる首相に対し、国会の「台風の目」的な存在になった玉木氏は「年収103万円の壁」の上限引き上げなどを迫り、国政での主導権を握りたい構えだ。首相に関しては早期に衆院を解散するなど、9月の総裁選での言行を翻す場面が目立ち、玉木氏は手厳しく批判している。ただ、ほんの少し前まで2人は党派を超えて、国家観や政治スタンスで共鳴する間柄だった。 【写真】令和元年11月2日、憲法のトークイベントで笑顔を見せる立憲民主党衆院議員だった菅野志桜里氏、自民党の石破首相、国民民主党の玉木代表 ■揶揄しつつ批判 「選挙で103(万円)を178(万円)にすると明確に提示し、議席をもらっている。国民との約束は重い。178(万円)を目指し、取り組んでいく」 玉木氏は7日、国会内で記者団に「年収103万円の壁」を打破していく考えを強調した。 パートで働く人らの年収は103万円を超えると所得税が課税され、逆に手取りが減る。国民民主党は衆院選などで、これについて178万円への引き上げを訴えた。11月中に編成される物価高対策などを含む令和6年度補正予算案に「看板政策」の反映を求めるべく猛攻をかける。 玉木氏は、首相に対し、政権発足前後から批判のトーンを強めてきた。 首相が予算委員会を開かずに衆院解散すると「議論から〝逃ゲル内閣〟だ」(10月1日、記者団に)、政策面で「石破カラー」が出ていないことに対しては「石破さんの着ぐるみを着た岸田文雄前首相がいるのか。『岸破(きしば)内閣』だ」(10月7日、記者団に)─ 11月2日には自身のインターネット番組で、「石破政権の延命に協力するつもりはない」と述べ、対峙していく考えを改めて強調した。 ■かつては相思相愛 ただ、首相と玉木氏はかつては会食を共にし、〝相思相愛〟だった節がある。 平成30年9月、玉木氏が当時の旧国民民主党代表選に勝利すると、首相は記者団に「『対立ではなく対話』。奇しくも私が言っているのと一緒だ。野党の言うことを取り入れるのは大事だ」などと玉木氏が掲げる「対決より解決」と似たフレーズをあげて、エールを送った。 玉木氏も、「石破さんには頑張ってもらいたいなあ、頑張れ」と周囲に漏らし、同月に行われた党総裁選で首相が安倍晋三首相(当時)に挑んだ際は、「自民党は『不自由民主党』になっている。石破先生が活発な議論を展開すれば、日本の政界が活性化するきっかけになる」とエールを送り返した。