対峙する石破首相と国民・玉木代表 以前は〝相思相愛〟「ほんわかタイプで国家観も合致」
元自民党政調会長の亀井静香氏は当時、玉木氏の後見人を自任しており、党派を超えて首相と連携させようと指南したこともあった。
首相と玉木氏の2人は永田町を離れても共演する。令和元年11月には東京・渋谷で憲法に関する市民主催のイベントに出演し、国会の憲法審査会での議論を活性化すべきとの認識で一致した。
安倍政権下で不遇をかこい、孤立を余儀なくされていた当時の首相。玉木氏と議論をする際は、珍しく満足げな表情を浮かべ、終わった後は柔らかな笑顔で「お茶」で乾杯した。
■外交は「政局化」せぬよう
この約3週間後の衆院憲法審査会。首相は机をバンバンとたたいていた。発言を求めても、自民の審査会長はまったく自身を指名しないからということだった。
首相に発言を促したのも玉木氏だった。首相が憤激する直前、「9条2項を残したまま矛盾を解決できるか。石破先生も思う所は違うのではないか」と、2項を残したまま自衛隊を明記するという自民党の改憲案について、首相の考えを求めていた。
首相と玉木氏と3人で憲法イベントなどに出席した元国民民主党衆院議員の菅野志桜里氏は、首相と玉木氏は国家観、憲法観が合致しているとした。
「2人は自分の国は自分で守るべきという考え。だからこそ(戦力不保持を定めた)『9条2項改正』についても、正面から国民に理解してもらう議論をしようよ、という、国民に対する厚い信頼がベースにある」と語る。
「石破さんは陰キャで、玉木さんは陽キャ。一見真逆に見えるが、性格的に攻撃的な所がなく、ほんわかタイプ」とも共通点を分析する。
その上で、首相に対しては、「党内より国民を見るという石破さんらしさを貫いてほしい。そのためにはある種の『狂気』も必要」と指摘する。
11日の党首会談については、「内政に関しては侃侃諤諤、議論してもらえばいいが、外交安全保障に関しては自公国で連携し、政局化しない。そういうメッセージを国内外に打ち出すべきだ」と訴えている。(奥原慎平)