交信不能のX線天文衛星「ひとみ」の現状 JAXA会見(全文1)分離の可能性
レーダーおよび望遠鏡での観測状況について
続きまして、8ページ、9ページ目は原田さん、お願いいたします。 原田:追跡ネットワーク技術センター長の原田でございます。8ページ、9ページ目で、レーダーおよび望遠鏡での観測状況について報告いたします。3月26日に通信異常が発生しましたが、それ以降、日本宇宙フォーラム殿が所有しております上斎原スペースガードセンターのレーダー、それから美星スペースガードセンターの光学望遠鏡を使いまして、「ひとみ」の軌道周辺を観測しております。 ご承知のとおり、JSpOCは「ひとみ」周辺に5つの物体があると公表されておりますが、われわれの上斎原および美星の観測によりまして、これまでのところ2つの物体の軌道を把握しております。軌道を把握しているというのは、物体の軌道決定までしているという意味でございます。この把握しました軌道情報を基に時間をさかのぼりますと、3月26日の午前10時37分ごろに、これらの物体は「ひとみ」の当初の軌道上のほぼ同位置にいたということが判明しました。これらの事実により、両物体のどちらかは「ひとみ」から分離した物体なのではないかと、今のところ考えております。先ほど計算しました10時37分というのは、JSpOCがブレークアップを起こしたと公表している時刻、10時42分プラスマイナス11分と公表されていますけども、この時刻とも整合しております。
次のページ、9ページですが、これが光学望遠鏡による観測結果でございます。写真1ですが、ちょっと見にくいかもしれませんが、この写真1の中で一番明るく写っている物体を観測しております。左端のところにある物体がそれであります。このときの、この望遠鏡は1メートル、口径1メートルの望遠鏡で観測しておりまして、測定した明るさというのは、この写真のときには3.2等級でございました。 それから右側の写真、写真2ですが、これは50センチ、0.5メートル、直径が0.5メートルの望遠鏡で撮影したものですが、こちらの物体については、もうこの写真の状態は5.4等級なんですが、何回か観測したところでは5等級から9等級の間で観測されているという状況でございます。