新幹線で絶品寿司…プロレスまで…!客が殺到する驚きの企画が続々
高級寿司からプロレスまで~新幹線車両を貸し出し
東京・四谷の路地裏にある予約半年待ちという人気寿司店「後楽寿司 やす秀」。豊洲だけでなく産地にも足を運び、最高の食材を仕入れている。閉店後の午前2時半過ぎ、店主の綿貫安秀さんが仕込みを行っていた。翌朝、特別な仕事が待っているのだ。 【動画】高級寿司からプロレスまで~新幹線車両を貸し出し 「面白そうだし、誰もやったことがないので挑戦しようと。でも話を聞けば聞くほど無理難題、プレッシャーしかないです」(綿貫さん)
午前9時、食材をたくさん抱えて従業員総出で向かったのは東京駅のホーム。そこへ新幹線が入ってきた。仕事の舞台は新幹線の中だ。 つまみ6品に握りが10貫。交互に楽しんでもらう「おいしい新幹線」。 東京~名古屋の片道運賃込みで5万5000円だが、用意した64席は完売した。 鉄道事業で堅く稼いできた大企業・JR東海が今、驚きの変貌を遂げている。 寿司の企画を準備したのは営業本部法人営業グループの秋山誠。グルメ雑誌「dancyu」からの提案だった。 「『新幹線での食事は人を幸せにする』という熱意にほだされました」(秋山) 「秋山さんの『イエス』という力強い言葉でプロジェクトが始まりました」(「dancyu」編集部長・植野広生さん) 食事を提供するのに欠かせない「食品衛生責任者」の資格は秋山が自ら取得した。 別の日には新幹線がバーになった。これらはJR東海の車両を丸ごと貸し出すサービスだ。
東京と新大阪を結ぶ東海道新幹線は日本の大動脈と呼ばれ、JR東海にとってはドル箱路線。収益も輸送頼みで、その割合は他のJRよりも高く8割にのぼる。 だからコロナの影響も大きかった。移動制限で利用客が激減し初めての赤字になり、その額は2000億円を超えた。 客の乗っていないガラガラの車両を走らせながら知恵を絞り、始めたのが高校の卒業旅行や結婚式、プロレスなどで利用してもらう「車両の貸し出し」だ。 「コロナがあったからこそ、みんなで知恵を絞った。お客様の声を聞いて、どんなことをやったら乗ってもらえるか。一言でくくれる出来事ではありませんが、JR東海が変わるきっかけになったのは間違いない」(秋山) 以後、JR東海は、輸送以外のビジネスも次々と仕掛けるようになっていく。