エヌビディア、驚異の59万1078%リターン-時価総額世界一までの道
しかし、こうした半導体がすぐに飛ぶように売れたわけではない。エヌビディアの株価が07年の上場来高値を更新するには9年近くかかることになる。
エヌビディアの株価は15年に再び上昇基調となった。この時期、同社の半導体は、高度なグラフィックスインターフェースから自動走行車、AI製品の新潮流に至るまで、新たなテクノロジーの基盤になりつつあった。
バンリオン・キャピタル・マネジメントのシャナ・シッセルCEOが初めてエヌビディアに注目したのはその時だった。17年の会議では、エヌビディアは一つの投資アイデアというより、グランプリに輝いたかのようだったという。
「講演者は皆、エヌビディアが最も重要な企業だと話していた。その時点で、本当に私のレーダースクリーンに映っていた」とシャナ氏は語った。
暗号資産(仮想通貨)のマイナー(採掘者)からの需要がなくなった後も、データセンターの売り上げは伸び続けた。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)は、企業がリモートワークをサポートするために追加のコンピューティングパワーを買い入れる必要があったため、このビジネスを後押しした。
エヌビディアのデータセンター売上高は、17年度から21年度にかけて急拡大した。
22年に入るとエヌビディアの株価は金利の急上昇とコロナ期ブーム後の需要の落ち込みに揺れる他のテクノロジー銘柄と共に低迷。
オープンAIが22年後半にリリースした対話型AI「ChatGPT」は瞬く間に話題となったが、投資家がエヌビディアがどのような利益を得るかを理解するには時間がかかった。やがてChatGPTや他の生成AI製品への関心が爆発的に高まり、エヌビディアの半導体への注文が殺到するきっかけとなった。
同社が23年2-4月(第1四半期)決算を発表したとき、その事業の飛躍はウォール街のほぼ全員に衝撃を与えた。エヌビディアは、平均予測を50%余り上回る四半期売上高見通しを示したのだ。