注目のオルタナティブ・ロック・バンド、ニューダッド(NewDad) ピクシーズやザ・キュアーからの影響を語る
――「Madra」では、鬱や孤独など、10代が抱える不安が親密なトーンで綴られています。ジュリーさんが歌詞を書く上で大事にしていることは何ですか。
ジュリー:「Madra」は、まさに10代の自分そのもののような作品でした。あの頃の経験が私たちの音楽の根底にあって、「Madra」を聴くと10代の頃の自分に戻ったような気がします。私にとって、ハッピーな曲やラブソングを書くのは難しくて、どこか嘘っぽくて安っぽく感じてしまう。本心から楽しめなくて、心が重くなる。むしろ、心の奥底にある孤独や憂鬱な感情を掘り下げて音楽にぶつけると、心が軽くなる。表現の幅が広がる気がするし、大げさに書いたり深く考え込んだりできるから、そういう方が音楽を作るのが楽しいんです。
学生時代に曲を書き始めて、20代前半になって、10代の頃の経験から学んだことを振り返るようになりました。だから「Madra」は、私の人生のある章を要約したものなんだと思います。でも、次のアルバムは、24歳になり、新しい街で新しいことを始めた今の私の姿を映し出したものなんです。
――今年の春に開催されたSXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)では、米軍からのスポンサーシップをめぐってボイコットの動きが起こりました。ニューダッドをはじめ多くのバンドやアーティストが抗議の声を上げましたが、あの経験を今どのように受け止めていますか。
ジュリー:行動を起こしてよかったと思います。あの出来事を通じて、アイルランドのアーティスト同士が団結して、互いに協力し合い、連帯感を深めることができました。その結果、彼らは資金援助を打ち切った。あのボイコットには効果があったし、そこから多くのことを学ぶことができました。最初は不安もあったけど、現地を訪れ、みんなと一緒に行動したことで、自分たちの決断は正しかったと心の底から思えたんです。あの経験は、私にとって大きな意味がありました。