注目のオルタナティブ・ロック・バンド、ニューダッド(NewDad) ピクシーズやザ・キュアーからの影響を語る
――離れてみたことで、母国への想いや見方が変化したようなことはありますか。
ジュリー:愛着がより深まった気がします。ロンドンみたいに賑やかで大きな街と比べると、故郷の静けさがすごく心地よく感じる。ロンドンは私が慣れ親しんできたものとはまったく違っていて、だからゴールウェイに帰るととても穏やかで、平和なんです。ロンドンに引っ越すまでは、その素晴らしさをよくわかっていなかったんだと思う。だからアイルランドがもっと好きになりました。
――例えば、フォンテインズD.C.の「Skinty Fia」というアルバムでは、同じくアイルランドを離れてロンドンで暮らすようになり、そこで感じた葛藤や故郷への複雑な思い、アイルランド人としてのアイデンティティーがテーマになっていました。今のあなたたちも大いに共感するところがあるのではないでしょうか。
ジュリー:とても共感します。すごくありきたりかもしれないけど、次のアルバムでは、故郷を離れて暮らすことについて歌っていて。新しい国って、最初は期待に胸を膨らませてワクワクするけど、いざ住んでみると孤独で、家族と離れて暮らすのは本当につらい――特に私は家族ととても仲がいいから。グリアン・チャッテンが書く歌詞からは、そうした新しい環境への期待と現実の厳しさとのギャップに悩みながら、心の奥底から湧き出るような正直な感情が感じられて感心させられるし、とてもストレートで心に響いてくる。それでいてとても詩的で、いつか彼のように自分も率直な気持ちを歌えるようになりたいって思います。
彼がアイルランドについて書くのが好きなんです。アイルランドは完璧な国ではないし、多くの問題を抱えている。でも彼にとってかけがえのない故郷であるということが、彼の楽曲から伝わってきます。アイルランドへの深い愛着を持ちながら、その国の光と影を描き出していて、その2つのバランスを取る書き方が本当に面白いし、的確だと思う。とても力強くて説得力があるし、彼の楽曲は、現代のアイルランドの若者が感じていることを完璧に表現していると思う。