なぜ?40年東大合格者NO.1の開成を蹴って「都立日比谷」に進む生徒が増えている…中学受験激化による地殻変動
2000年代以降、開成高が復権
1980年代以降、完全に面目を失ってしまった日比谷ですが、2000年代に入ってようやく状況が変わってきます。学校群制度・学区制が撤廃され、都立高校が息を吹きかえしてきたのです。 2003年度以降は東京都で学区制が廃止されたことで、名門都立高校に再び優秀な生徒が集まるようになり、約20年の時を経て名門都立高校は復活を遂げ始めています。 学区制が廃止された直近の都立高校進学実績では名門校の快進撃が進んでおり、この傾向は今後も続くものと思われます。特に40代以上の親御さんの中には「都立高校=学校群制度・学区制」で「優秀な生徒が集まりにくい」という認識の方がいるかもしれませんが、これは現在のデータに照らし合わせると正しくありません。学区制が終了し優秀な生徒が集まりやすくなった名門都立高校から難関大学を目指す、というのが現在の一般的な感覚になりつつあるのです。 さらに、2000年代に入ると、東京都教育委員会が「進学指導重点校」というものを指定するようになります。 進学指導重点校とは、東京都教育委員会から指定され、進学指導の充実を図り進学実績の向上に重点を置いた都立高校のことを指します。共通テストを5教科7科目で受験する者が在籍生徒の6割以上、難関国公立大学(東大・京大・一橋大・東京科学大・国公立医学部医学科)への現役合格者が15名以上など、ハードルの高い基準が設けられています。 現在では日比谷高校、戸山高校、西高校、八王子東高校、青山高校、立川高校、国立高校の7校が指定されています。これらの都立高校の一般入試では、自校作成問題を導入して思考力のある生徒を集め、教育体制の充実のために教員公募制を実施して優秀な教員を募るなど、生徒・教員双方の質を高めようという努力を感じます。 この制度により、近年さらに優秀な生徒が都立高校に集まるようになり、進学実績を底上げしているという実情があります。 1993年に「1名」にまで減っていた日比谷の東大合格者数は徐々に上向いていき、2000年代後半以降は2桁で安定するようになりました。そして2016年には、およそ半世紀ぶりに50名を突破し、受験業界にどよめきが発生しました。2022年度入試では65名を記録し、合格者ランキングTOP10入りを果たしています。 こうした半世紀ぶりの日比谷の快進撃を受けて、今や開成高校を蹴って日比谷高校に進学する者も珍しくなくなりました。日比谷に限らず、近年の高校受験市場においては、私立中高一貫校より公立進学校を選択するケースが増えてきているといいます。首都圏の中学受験割合が年々上昇し、高校から一貫校入学を志す人が減少したのも、かつてのような優秀層を高校から囲い込めなくなってきている原因かと思います。 実際、女子校東大合格者数全国2位の豊島岡女子学園は、2022年度より90名の高校募集枠を完全に停止し、入り口を中学入試に限定しました。関西の名門・東大寺学園も2024年度より高校募集を停止することを表明しています。 都立復調の流れの中で、私立中高一貫校の高校募集がどうなるのか、今後も目が離せません。
じゅそうけん
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