年金は思っているよりもらえる? 2、30代が知っておきたい数字の見方 #くらしと経済
高齢者の働き手が増えた結果、65歳を過ぎてもスキルを持つ人が年収500万~600万で仕事をすることは珍しくなくなってきたが、「それと同時に、在職老齢年金という制度が65歳以上の就業の妨げになっていることへの問題意識が高まってきた」と玉木さんは言う。 年金制度ではこれまで、65歳以上で働いている場合、「賃金(ボーナス込みの年収の12分の1)」と「厚生年金(基礎年金を除く)」の合計が50万円を超えると厚生年金が減額され、さらに一定額を超えると全額がカットされる(繰り下げで給付されるのではなく、単に消える)在職老齢年金制度が適用されてきた。 だが、それではシニアの“働き控え”が懸念されるという理由から、2024年11月25日の年金部会では働くシニアの年金減額を縮小する方針が示された。これに対し、カットしていた金額を給付しようとすれば多額の資金が必要になり、その結果、現在の若者(将来の高齢者)が受け取る給付が減ってしまうことを問題視する声もある一方で、65歳以上の就業の促進は人手不足の緩和になると同時に日本経済を活性化するメリットがあるという声がある。 また、老後に国民年金の数万円しかもらえない人を増やさないために、厚生年金の適用拡大を2000年代から少しずつ進める動きもある。2024年11月の「厚生年金、年収問わず加入へ」の報道に対しては、批判もかなり聞こえるが、一方で「厚生年金に入りたくても入れない」という声も多い。 「つい10年ほど前までは週20~30時間ほどの短時間労働者は厚生年金保険の適用外だったのですが、従業員数501人以上の場合、101人以上の場合、と適用が進んで、現在は51人以上の企業は適用の対象になっています。ただ、個人事業主に雇用されているとフルタイムで働いても厚生年金に加入できないといったケースもあり、このムラをいかに解消していくかが本人のためにも、年金支給額を増やしていくためにも大切なことです」