年金は思っているよりもらえる? 2、30代が知っておきたい数字の見方 #くらしと経済
実質賃金上昇率が0.5%という想定なので、こうならないこともありうるが、妻がずっと専業主婦の世帯であっても、年金の受給額は7%減にとどまっている。 また、物価が上がるから実質の額はもっと減るという誤解も見られるが、21.1万円というのは、物価上昇も考慮して現在の価値に換算した額である。
モデル世帯の受給額に若い現役世代は悲観しなくていい
さらに、井上さんは「所得代替率は5年に1度の財政検証において、年金制度の健全性を測るための重要な指標である一方、若い現役世代はこの数字にそこまで不安を感じなくていいのでは」との見解を示した。 「社会保障審議会の年金部会の委員の中には『夫が平均的な報酬を得ていて、妻は厚生年金に加入したことがないケースをモデル世帯と呼ぶことによって、この世帯モデルがまるで現代の日本のモデルケースのように捉えられてしまうのでは』と危惧していらっしゃる方もいます。現代は、25~39歳女性の就業率が約8割という状況であり、少なくとも共働きの若い夫婦が、過去30年投影ケースにおける2057年度の21.1万円という数字を見て不安がらなくていいのでは」 厚生労働省の社会保障審議会(年金部会)は現在、2024年末に向けて「モデル世帯」の見直し案を作成中だ。 現在の「40年間サラリーマンと40年間専業主婦世帯」に加え、共働きや単身ごとに複数の案を追加し、多様化するライフスタイルに応じて、受け取れる年金額の目安をイメージしやすくする狙いがある。
男女の世代別平均で見ると、若い世代は年金が増える⁉︎
今回の財政検証ではそれに先駆けるような形で、前回の2019年までにはなかった「男女の世代別での年金額の見通し」が示された。 「モデル世帯の男女の平均ではなく、労働参加の進展を反映して、各世代の男女の平均としてどのくらい年金をもらえるのかを算出したもの。こちらのほうが20代や30代の若い世代の参考になると思います」
成長型経済移行・継続ケースでは、現在30歳の世代は男女ともに大幅に支給額が増加し、過去30年投影ケースでは男性は0.2万円ほど減るが女性は1.4万円ほど増え、夫婦なら世帯で見れば現在よりもプラスになる見通しだ。