年金は思っているよりもらえる? 2、30代が知っておきたい数字の見方 #くらしと経済
また、現在65歳の女性がもらっている年金の平均給付額は9.3万円だが、女性の世代別分布を見てみると、過去30年投影ケースでは、現在の30歳は10万~15万円をもらえる割合が全体の中で最大を占めている。
支え手の増加と厚生年金の適用拡大が、支給額増加の要因
前回2019年の調査では、想定する6つのケースのうち経済成長などが上から3番目に進むケースでも、2024年度には所得代替率が60.2%まで低下すると推計されていた。しかし実際は、61.2%と給付水準が想定を上回った。そして将来的に若い世代はもらえる年金が増える見通しまで立っている。 なぜ、このようなことが起こっているのだろうか。 ここからは年金部会の部会長代理であり、日銀、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)に勤めた経歴を持つ玉木伸介教授(大妻女子大短期大学部)に話を聞いた。 玉木さんは最大の理由を「年金の若返り」だという。 「社会の変化によって女性と高齢者の働き手が増えたこと、つまり、年金財政の支え手が増えたことが一番大きな要因です。90年代頃までは共働き世帯と専業主婦世帯が半々くらいでしたが、2000年代から徐々に共働き世帯が増えていき、近年は定年延長も増えてきました」 働き手が増えた理由には、働きたくても働けなかった人が減ったという側面だけでなく、「生活のため」「老後も含めた将来のため」など経済的な不安からくる側面もあるが、年金財政にとってはプラスである。 「労働参加が進み、保険料を払う『支え手』が増えたことで、高齢者ひとりを現役世代ひとりで支える肩車型から、高齢者ひとりを複数人で支える騎馬戦型に戻りつつある。これを私は『年金の若返り』と呼んでいるんです」 女性と高齢者の労働参加が進み、収入に対して18.3%を払う厚生年金保険の加入率は大幅に伸びた。 「2004年の財政検証では、2020年時点の厚生年金加入者の推計値は3500万人に届かないという見通しでしたが、2020年時点でそれを1000万人以上(30%以上)上回る結果が出ています」