外国人旅行者が“子供の頃から憧れていた”日本で「感動したこと/残念に感じたこと」
オーバーツーリズムとは無縁の足取り
東京スカイツリーや浅草寺、京都の仏閣や大阪の道頓堀といった一般的な外国人観光客がまず先に目指しそうなスポットには目もくれず、ヒベイロさんは特撮の聖地巡礼を主な目的に10都県を巡った。 フォルタレーザ市の私立学校で、英語教師を務めるヒベイロさんにとって一人旅で困ることは少なく、外国人対象のJR特別乗車券「ジャパンレールパス」が、各地への鉄道網を利用するうえでいかに便利であるか。ただただ、感心したという。 「横浜はロケ地として数多くの特撮ドラマが撮影されてきました。みなとみらい駅で下車して周りを見渡すと、ドラマで見たことがあるビルをいくつも確認できました」 まず訪れたのは、駅前の横浜美術館だった。 特撮ヒーローの展示があったのかと思えば、「『特警ウインスペクター』の番組オープニング映像で映っていたので、その場に立ちたかった」とのこと。 入館せず、次に訪れたのは、横浜の中でも特撮の聖地として名高い横浜赤レンガ倉庫だ。 名称の通り赤レンガの外装が美しい旧保税倉庫は、1971年放送の「仮面ライダー」のころから特撮ドラマのロケ地に選ばれてきた場所だ。「特警ウインスペクター」ほか「時空戦士スピルバン」「太陽戦隊サンバルカン」などブラジルでも地上波放送されて人気を博した番組でしばしば登場したため、当地の特撮おたく界隈でもよく知られている。 現在、横浜赤レンガ倉庫は文化・商業施設として営業しているが、観光客が殺到するスポットではないため、ヒベイロさんが訪れた年の瀬の平日午前中に外国人は見かけなかったという。彼のような一味違う訪問者は疎んじられるオーバーツーリズムと無縁だ。
各地での撮影禁止にがっかり
ふだんは学校に勤務しているヒベイロさんは、動画の編集と公開に追われるYouTuberではない。それでもブラジルで特撮ドラマの同志を増やしたい心意気を携えて各地で動画の撮影を行った。 「残念だったのが多くの施設やイベントで『撮影お断り』だったことです」 東京ドームシティに見に行った「王様戦隊キングオージャーショー」でも撮影できず、イベント専属のカメラマンが撮った写真を購入するしかなかった。 ブラジルではコンサートや展覧会など多くのイベントでスマートフォンでの撮影が許可、黙認されている。InstagramやYouTubeなどで情報が迅速かつ広範に拡散される時代にあって、映像や写真の撮影を規制するよりも、逆に許可することでアーティストやイベントを世界に広めるべきなのでは?とヒベイロさんは語る。