【2024年ベストバイ】スタイリスト TEPPEIが今年買って良かったモノ
1970年代 Schottのライダースジャケット「ワンスター」
F:5点目は「ショット(Schott)」のライダース ワンスター。1950年代に作られてからほとんどデザインが変わっていない名作ですが、これはいつ頃のものなんですか? TEPPEI:1970年代製ですね。ショットのアイテムは作られた年代によってタグのデザインが異なるのですが、1970年代のタグは左上に牛が描かれているのが特徴なんです。 僕は今年、仙台、山形、軽井沢、京都、大阪、福岡、沖縄など行ける限り足を伸ばして地方の古着屋を回りましたが、このライダースは福岡の古着屋「スナッグ(SNUG)」で購入したもの。このお店は最近よく話題になっているヴィンテージイベント VCM(VCM VINTAGE MARKET)にも出展していたりと、その筋では名の知れたショップです。日本に古着屋といえば有名店だけでも枚挙にいとまがありませんが、僕は物の良し悪しのほか、そのお店の雰囲気を肌で感じたり、店主さんと話して古着への向き合い方を聞いたりしながら服を買うかどうか決めています。スナッグさんは、自店のセレクトに誇りを持っていて、時代に媚びたりせずに好きなものを貫くというスタンスなのが共感できるなと。 F:職人気質なところがあるんですね。アイテムとして気に入ったポイントは? TEPPEI:新品では絶対に出せないヴィンテージレザー特有の「アジ」とフィット感ですね。このアイテムは「42」という大きいサイズなんですが、この年代のショットでゆとりあるシルエットのものは滅多に出てこないので買うしかないなと。 F:まさに一期一会ですね。 TEPPEI:でも、2つ難点がありました。1つ目はタバコの臭い、2つ目は破れです。まず、とにかく臭いが強烈だったのでお風呂に水を張って洗剤を入れ、つけ置きして水で洗ってから、天日干しするという流れを繰り返しました。 F:本革って水につけても大丈夫なんですか? TEPPEI:元々の状態から既に大丈夫ではなかったので、とにかくやるしかないなと(笑)。1ヶ月くらいかけてようやく臭いが気にならなくなってから、脇などの破れを補修しました。そして、そのタイミングで人によってはワンスターのアイデンティティと言うかもしれないエポレットを切除。ウエストベルトに付属していたバックルもカットして、自分のスタイルに合うようカスタムしました。結局購入してから着るまで2ヶ月近くかかったのですが、手間をかけたぶん愛着もひとしおです。 F:もはや親心ですね(笑)。 TEPPEI:どうして男ってこういうボロボロの服に惹かれるんですかね(笑)。年齢問わず好きな人が多いじゃないですか。女性には理解し難い感覚なのかもしれませんが、これが“ロマン”と呼ばれるものかもしれません。