ご当地アイドル、なんと1000組 LCCなどでブーム再燃 仕掛け人の仕事とは?
金子氏の「金言セブン」とは?
それぞれのアイドルに向ける「金言セブン」は、金子氏の育成方法の特徴の一つだ。心構えや練習に対する取り組み方などを具体的に指導する内容で、アイドルたちの日々の指標になっている。 「テレビ局のドラマ制作部で働いていたころ、誰よりも早く出社し、前日の視聴率が出たら号外を作って廊下の柱に貼ったり、お偉いさんの机の上に置いて回ったんです。最初は変わり者扱いされましたが、半年ぐらいしたら制作フロアの中でもファンができて。大真面目に頑張ろうと言っても誰も耳を傾けないと思うので、毎月『ちょっと役に立つ金言セブン』を作って各アイドルさんにメールしているんです。テレビ東京のときと同じように半年過ぎてからファンが出てきました(笑)」 毎月メールで送ると、スタッフやメンバーの反響があるという。過去に評判が良かったベスト3は、以下の通りだ。 1位「プロとアマの違い。プロは同じことをしない。少しでも良いからアレンジ、工夫をしなさい」 2位「強いアイドルを作るには全国大会へ毎年行くような強い部活の理論を持ってくる。心技体を磨き、模範になる人間になろう」 3位「ライブだけ頑張るのではない。仕事をくれた人に良い挨拶ができたかが重要。仕事をくれた人はライブを見れてないことが多い」 これからのご当地アイドル界は、果たしてどうなっていくだろうか。 「2012年は東京を除く46道府県アイドルが282組。翌年の『あまちゃん』ブームで約2倍。東京五輪決定の盛り上がりで約3倍。今年6月24日現在では941組で、まもなく1000組を越える勢いです。最近は各テレビ局がアイドル大会、アイドルフェスを始めることで新結成が増え、『あまちゃん』『東京五輪決定』に続く第3次ご当地アイドルブームが来ています。少し前はAKB48さんに憧れてアイドルを始める子が多かったのが、最近はYouTubeを見て憧れる子が増えています」
時代を反映するアイドル界。面白いことに、交通インフラもご当地アイドル活性化に関係があるのだとか。 「アイドル普及と交通路の拡大は直結してまして。東京~名古屋間のリニア中央新幹線、空港の発着便拡大、LCC、深夜バスの増便が予想される中、ますますご当地アイドルの数が増えると思われます。それにともないアイドルの数と合わせて各地イベンターが育ってきているというのも最近の傾向ですね」 将来はアイドルが言語を越えるコンテンツとして外交の担い手にまで成長して欲しいと、壮大な目標を語る金子氏。こんな熱い人が支えている限り、ご当地アイドルはずっと続きそうだ。 (取材・文:志和浩司)