ロシア軍象徴「Z」印をつけた露体操選手が「2度目機会があれば同じことをする」と国営メディアに“反省ゼロ発言”で世界が再非難
現在、体操倫理財団が、銅メダルの剥奪も含めた懲戒措置を検討しているが「まだ誰からの連絡もありません」との現状も伝えた。 同メディアは、「なぜZマークを選んだのですか?」との質問もしているが、クリアクは、悪びれずに、こう答えている。 「私は軍隊でそれを見て、このシンボルが何を意味するのかを知りました。それは“勝利のために”そして“平和のために”ということです。私は誰に対しても何か悪いことを訴えたわけではなく、ただ、自分の立場を示したかっただけです。アスリートとして、私はいつも勝利のために戦い、平和のために競技します」 これらのやりとりも、軍事侵攻を正当化しようとしているロシア側の一種のプロパガンダとも受け取れないこともないが、このクリアクの不遜な発言は、またたくまに世界に広がり、非難の声が殺到した。 英ガーディアン紙は「反省の色のない体操選手のクリアクは、ロシアのために“Z”の文字を再び見せるだろう」との見出しを取って批判した。 記事は「この(Zの)シンボルは当初ロシア軍が戦車、兵員輸送車や他の車両との区別を目的に使用されていたが、ロシア国防省は今、“Z”は勝利を意味すると言及する声明を発している」と紹介した上で、今回のインタビュー内容を伝え、「この20歳(のクリアク)は国際大会からの長期追放や彼の銅メダル剥奪の可能性に直面しているにもかかわらず開き直っていた」と非難した。 英のスポーツ専門ラジオ局「トークスポーツ」は、「波紋を広げる。金メダルのウクライナ選手コフトゥンに敗れた後に『Z』の戦争シンボルを誇示した体操選手クリアクが“また同じことをやるだろう”と語る」との見出しを取り、「20歳(のクリアク)はメダルを受け取る時にこの文字を胸につけ、世界的な怒りを呼んだ」とした上で、今回のインタビュー内容を紹介した。 米CNNも「表彰台でウクライナ選手の横に立ち戦争支持のシンボルを着用してロシア国外から広く批判を浴びた体操選手クリアクが再び機会があれば『まったく同じことをするだろう』と語った」と伝えた。 クリアクの発言を詳しく記しつつ、「“Z”の文字はウクライナで作戦中にあるロシア軍の戦車や軍車両で見られており、ウクライナ侵攻支持の象徴となってきた」と紹介。 「ソーシャルメディア上のプロパガンダ用ビデオの中では、“Z”のシンボルが記された服を着用し、ロシア国旗を振り、ロシア支持のスローガンを連呼するウラジーミル・プーチン大統領の支持者が登場している」とも続けた。 同メディアは、体操倫理財団にクリアクの懲戒手続きの進展具合を取材しているが、「未解決や訴訟となる可能性のある手続き案件についてはコメントできない」と慎重に検討を進めている段階であることを説明したという。 ロシアのウクライナへの軍事侵攻の影響で、北京パラリンピックを含めて、ロシアの選手がほとんどのスポーツの国際大会から締め出され、一部からは「スポーツと政治を混同するのは問題ではないか」の声も起きている。だが、フィギュアスケートのトリノ五輪男子シングル金メダリストの“皇帝”エフゲニー・プルシェンコ(39)が自身のSNSで「大統領を信じている」と投稿するなど、ロシアのスポーツ界が、愛国心を全面に押し出してロシアの軍事侵攻を支持すると受け取れる発言や行動をすることで、スポーツと政治を混同させることとなり、スポーツの国際社会から、ますます孤立化する状況となっている。