北京パラリンピックにロシア、ベラルーシが中立選手で参加OKに「失望」「非難」の声が続々…ウクライナは「再び打撃を与える決定だ」と共同声明
国際パラリンピック委員会(IPC)は2日、4日から開幕する北京パラリンピックにRPC(ロシア・パラリンピック委員会)、ベラルーシの選手団を中立選手(NPA)として大会参加を認めることを決定した。両国選手共に国歌、国旗を使うことは許されず、メダルの国別集計には含まれない。ロシアがウクライナに軍事侵攻したことで、国際オリンピック委員会(IOC)が、すべての国際競技連盟にロシアとベラルーシの選手、関係者について国際大会から除外することを勧告。国際スケート連盟、世界陸連など、複数の競技団体が両国の選手の除外を発表していたが、IPCのアンドリュー・パーソンズ会長は、「政府とは異なり、パラリンピックアスリートは侵略者ではなく、他の選手と同じく大会に参加するためここにきている」と、政治とスポーツを切り離して決断を下した。 だが、ロシア、ベラルーシの北京パラリンピックへの参加を事実上認めた決定は波紋を広げ、ウクライナはもとより、米英の西側諸国からは失望と反発の声が出ている。
ウクライナのバイアスロン選手が戦闘で死亡
切実な声を表明したのはウクライナの選手たちだ。 世界スポーツに変化をもたらそうと活動する選手支援団体「グローバル・アスリート」は、IPCの決定を受けてウクライナ選手団との共同声明を発表した。 「IPCの決定は、ウクライナ選手、市民全員に再び打撃を与えました。昨日、19歳のウクライナのバイアスロン選手であるイェフヘン・マルシェフがウクライナでの戦闘で殺害され、ロシアの攻撃に対して自国を守りました。スポーツが有意義な制裁を実施する前に、あと何人の命を失う必要がありますか?」と訴え、さらに厳しく非難した。 「中立という分類があろうとなかろうと、ロシアとベラルーシの権力者たちは、彼らの国の選手たちの大会参加を国の宣伝活動として活用します。命が失われ、家族が引き裂かれ、ウクライナ国家のために涙が流れています。IPCとスポーツは暴力を止めることはできないが、ロシアとベラルーシの行動に最も厳しい制裁と完全に世界から孤立させるというメッセージを送ることができたでしょう」 そして、「IOCはロシアとベラルーシの国内オリンピック委員会を停止できなかった。今日、IPCも同じことを行った。IOCとIPCはアスリートの利益や原則より、政治を選び続けています。間違いなくスポーツは政治です。プーチン大統領は一貫してオリンピックとパラリンピックを利用して国内外のアジェンダを進めてきました。多くのロシアオリンピック・パラリンピック委員会の選手はロシア軍のメンバーです。スポーツ管理者(IOC、IPC)の“政治的中立性“の主張は、人権と平和のために立ち上がるための呼びかけをそらすために使用される便利な嘘なのです」と、IOCとIPCの姿勢の問題点を指摘した。 同声明によると、ウクライナの選手は、世界中の何百人ものオリンピアンとパラリンピアンと共に、ロシアとベラルーシの国内オリンピック・パラリンピック委員会を直ちに停止し、北京パラリンピックへの出場を禁止するようにIOCとIPCに要請していたという。この要請は、カナダ、ドイツ、米国、世界選手協会のアスリートグループにも支持されたが、「選手の要求は、ロシアの利益が支持されて脇に置かれています。スポーツの管理者(IOC、IPC)は、その声よりも流血と利益を選択しているのです」と失望の念を伝えた。