侍Jと中盤まで接戦チェコで「未来の監督だ!」 巨人育成フルプに期待される母国球界発展の役目
ラグザス 侍ジャパンシリーズ2024 日本vsチェコ
野球の「ラグザス 侍ジャパンシリーズ2024 日本vsチェコ」初戦が9日、愛知・名古屋市のバンテリンドームで行われ、日本が7-1で快勝した。敗れたチェコだが、初回に1点を先制するなど中盤まで互角の戦いを披露。会見ではパベル・ハジム監督が横に座った巨人育成の25歳マレク・フルプ外野手に「未来の監督だよ」とお墨付きを与えた。チェコ球界の発展に欠かせない存在となっている。 チェコは初回2死無走者からフルプが右翼フェンス直撃の二塁打で出塁。続くマルティン・チェルベンカ捕手の中前適時打で先制した。力が噛み合った先制劇にハジム監督は「まさにドリームイニングと言っていい」と興奮気味。2023年ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)でも、初回に1点を先制して世界を驚かせた。「あの時を思い起こすような内容」と今回も日本のファンに強烈な印象を残した。 その思いはフルプも一緒だ。この日は4打数1安打1三振。「WBCを思い出すかのような気持ちです。初回からリードを取れたのは大切」と誇らしげ。9月に巨人と育成契約を結び、10月には宮崎でのフェニックスリーグに合流。実戦出場と練習を繰り返してきた。 「やはり日本の投手とチェコの投手は投球が違う。僕も最初はタイミングの取り方に苦労したけど、そのおかげで今は戸惑うこともない。ただ、他の仲間は苦労していたので、巨人で学んだことを伝えていきたい」。経験を代表強化につなげていきたいとする。 ただ、チェコは3回に同点に追いつかれると、1-1の6回に2点、7回に4点を失った。6回2死二、三塁から遊撃手がゴロを弾き、満塁とされると、栗原陵矢内野手(ソフトバンク)の左犠飛が決勝点となった。7回には先頭の源田壮亮内野手(西武)から長短4連打で4失点。ミスで失った流れを取り戻すことはできなかった。 フルプは流れに飲み込まれた場面を振り返り「明日は守りをより良くしたい。ミスを少なく。ただ、攻撃には良い点もあったので、そこはしっかり強化して勝ちたい」と課題を挙げた。この発言に、監督は突然「未来の監督だよ!」とフルプの肩を叩いた。チェコ人初のNPB選手。魅力の強打だけでなく、野球観も磨き上げ、代表に還元してほしいと望む。 ハジム監督はチェコ野球の未来について「ゆくゆくはWBCやプレミア12、五輪の出場権を取っていけるようにしたい」という。将来の大舞台でフルプが代表の指揮を執る日が来た時、チェコ野球にはどんな未来が開けているのか。日本との交流も、さらに深まっていることだろう。
THE ANSWER編集部・羽鳥 慶太 / Keita Hatori