24年ぶり東海地区代表がファイナル4進出「夢を与えられる結果ではないか」(インカレバスケ2024・名古屋学院大学)
「みんなでフォローして、みんなで走って、みんなでバスケットすることを意識していました」中嶋正尭
爆発的なオフェンス力で勝ち進む名古屋学院大学だが、「実はディフェンスができるようになったことが大きい」と竹之下監督は勝因を挙げた。日本体育大学の2年生エース・小澤飛悠のマークを任されたのは、中嶋だった。「日体大の中心選手であることも分かっていたので、ハードにディフェンスをして相手に好きに攻めさせないことを意識していました」と23点を許したが、勢いづかせる働きを阻止する。エースとのマッチアップだけでも神経をすり減らせるはずだが、まわりもよく見ていた。名古屋学院大学は #9 オコエ ピーター ジュニアと #30 ニャン アマドゥ マクターの2メートルを備えている。「ジャンピ君(ムトンボ ジャンピエール)やコネ(ボウゴウジィ ディット ハメード)君とは身長では対等だが、実力的にはイーブンもしくは違うところで勝てなければいけない。ボックスアウトをしっかりしてくれる留学生なので、そこで助かった」と竹之下監督は述べ、チームプレーに徹するビッグマンが名古屋学院大学の強みでもある。 2メートルの2人の次に大きい190cmの中嶋が、アウトサイドプレーが得意な小澤をマークしつつ、リバウンドにも入らなければならない。インサイドにボールが入れば、オコエやニャンとともにゴールを守る。「相手の留学生もすごい身長が高く、手も長い選手たちなのでみんなでフォローして、みんなで走って、みんなでバスケットすることを意識していました」と広い守備力でチームを勢いづける。ゴールを背負う中嶋だからこそ、「よく見えるポジションにいるので自分が声を出して、みんなが少しでもプレーしやすいような環境ができれば良いと思っていました」と声を張り、ベスト4進出に大きく貢献した。 関東勢に2連勝し、準々決勝の壁を打ち破った快挙に「正直な感想は驚き」と中嶋は言う。さらなる正直な心境として、「もちろん勝とうとはしていましたけど、本当に勝てるとは思っていなかったです。でも、練習してきたことが全部うまくつながって、最後は勝ちにつながったのですごくうれしいです」と笑顔を見せた。この強さも、東海地区での悔しさが原動力となった。 「今年最初のトーナメントでは中京大学に決勝で負け、良いチームになってきたなとは思っていたんですけど西日本大会で3位。でも、秋のリーグ戦で優勝し、その後の1ヶ月間でチームがひとつになってきたと感じていました」 中央大学戦では3ポイントシュート9本を決め、29点を叩き出した中山と、日本体育大学戦のスコアリーダー永野のダブルエース。オコエとニャンはプレースタイルが異なるビッグマン。2年生の #34 髙木来希は、これまでの3戦すべてで二桁得点を挙げている。次の日本大学にも大学バスケ界屈指のビッグマン #12 コンゴロー デイビッドがおり、ケガから完全復帰した #3 米須玲音をはじめ、充実したタレントを誇る。相手に的を絞らせることなく、チームバスケに徹する名古屋学院大学が勝機を見出せるか!? 今年のインカレへ向け、名古屋学院大学が掲げた目標はベスト4。すでに達成した今は、「もう1位しか見ていないです」と中嶋は目標を上方修正する。注目度も高まっているが、中嶋は脇目も触れずにただ突っ走って行く。試合中に切った唇を押さえながら、名古屋学院大学のチーム力の源を明かしてくれた。 「全学年が仲良くてしゃべりやすいし、コート上以外でも一緒にいる時間が多いので、すごく良いチームだなと思います。ただバスケが好きで、本当に楽しいから続けているだけです」
泉誠一