倍速老化は免疫の暴走が引き起こしている…体が急に老化する人を救う「意外な存在」
急に老け込んだり病気や痛みを抱えたりする人の体の中では、免疫の暴走が起きています。 【写真】「転んで死ぬことになった」60代以上の人たち…その悲しすぎる結末 免疫の活動を担う免疫細胞には、炎症を起こし外敵と戦う攻撃役と、攻撃役が外敵を倒したら炎症を抑え傷ついた細胞をまとめて掃除する制御役がいて、その制御役こそが一般的な老化とは一線を画した老化を止めるカギを握る存在です。 輸血による C型肝炎の感染撲滅に貢献し、世界的な評価を得た医学博士・飯沼一茂さんの著書『倍速老化』(サンマーク出版)より一部抜粋、再構成してお届けします。
倍速老化を止める救世主「制御性T細胞」とは
必要に応じて免疫の攻撃役を止め体内のゴミを掃除するのが制御役、と言われると「免疫の制御役って何だか地味」と思われるかもしれません。 医学の世界でも長年あまり重視されてこなかった免疫の制御役ですが、じつは、この制御というのは非常に大事な役割だということが近年、知られ始めています。 免疫の制御がうまくいかなくなることで発症するのが、自己免疫疾患です。自己免疫疾患といえば、歌手の八代亜紀さんが患った膠原病や、安倍元総理の潰瘍性大腸炎などが話題になりました。日本でも患者数が増加し続けているため、免疫の制御の重要性は今後広まる一方になるでしょう。 この免疫の制御役は、じつは免疫細胞全体のたった1割程度しかいません。9割は攻撃役です。制御役は圧倒的に少数ながら、いないと体はブレーキの壊れた車のような状態になってしまいます。そう考えると、いかに大事な存在かがよくわかるでしょう。当然、制御役がきちんと仕事をしてくれるかどうかは、体の老化速度にも強く関わっています。 この大切な制御役の中心的存在が「制御性T細胞」です。 分類としては白血球のなかのリンパ球、リンパ球のなかのT細胞、そのT細胞がさらに分かれていき、そのうちの1つが制御性T細胞となります。しかも同じT細胞でも、ほかのT細胞は攻撃役を担っているため、制御性T細胞はちょっと特殊な存在。それだけに発見された時期も遅かったという歴史があります。 制御性T細胞が発見されたのは、いまから約30年前のことでした。現在、大阪大学で特任教授を務めている坂口志文先生が、なぜリウマチなどの自己免疫疾患が起きてしまうのかを解明しようとするなか見つかっています。 女性に多いリウマチや冒頭で申し上げた膠原病は、攻撃役が自分の正常な細胞を敵だと勘違いして攻撃してしまうため起こる病気です。花粉症などのアレルギーも外敵でも何でもない花粉に過剰に反応し、攻撃役が攻撃してしまうことで起こる症状。 つまり多くの日本人を悩ませる花粉症やリウマチなどは、制御性T細胞をはじめとした制御役がうまく機能しないことで起きるトラブルだと言えるのです。