これからはいつでも一緒 持ち運べる最高峰キーボード「REALFORCE RC1」は誰に適した製品か?
「REALFORCE R3」よりパワーアップしたカスタマイズ性
APCとキーマップ設定は、「REALFORCE R3」と同様に純正のユーティリティーアプリ「REALFORCE CONNECT」(Windows/macOS対応)から行えるが、2つの機能追加が施されている。 1つはAPC設定の細かさだ。APCはアクチュエーションポイントチェンジャーの略で、各キースイッチがオンとして認識される押下距離を変更できるというもの。 R3では0.8mm/1.5mm/2.2mm/3.0mmの4段階での設定が可能だが、RC1では0.8mmから3.0mmまで0.1mm単位で設定できるようになった。アクチュエーションポイントをあらかじめ最大16種類設定しておき、それを各キーに割り当てていくという2段階で行うため、正確には0.8mmから3.0mmの23段階で設定できるわけではないが、実用上で困ることはないだろう。 R3ではキー全体に対するAPC設定として全て(全キー同じ設定)、個別1、個別2の3つを保存しておき、それを切り替えて利用することができた。RC1では全て、個別の区別はなくなり、最大4つを保存/切り替えることができる。初期状態ではFn+Q/W/E/RがAPC切り替えキーとなっている。 そしてもう1つの違いがキーマップ数が2つから4つに増えたことだ。マップ切り替えは初期状態で「Fn+F1~F4」に割り当てられている。キーマップ、Bluetooth接続先、APC設定が全て4つにそろえられたので、感覚的に切り替えキーが分かりやすくなった。 設定内容をオンボードメモリに保存できることは以前のモデルと同様だが、持ち運びがしやすいRC1では、その恩恵を受けるケースも多くなる。キーマップとAPCの設定数増加に合わせてさまざまなシチュエーションに対応しやすくなったといえるだろう。
R3とまったく変わらないフィーリングを実現
RC1最大の特徴は「REALFORCE R3と全く変わらない機能とフィーリング」──これに尽きる。キースイッチには当然ながら東プレ伝統となる静電容量無接点方式の静音タイプを採用している。 キーピッチ19mm、キーストローク4.0mm、ステップスカルプチャーも同様で、タイピングのフィーリングはソフトタクタイルだ。REALFORCE特有の“スコスコ感”も変わらない。軽量ではあるが、剛性を含めて安定性もしっかり確保されており、この点においてもR3と全く同じフィーリングで利用できる。 違いがあるのはキー数だ。テンキーレスモデル(英語配列)から省略されたキーは以下の通りだ。 ・一部の編集キー(Insert、Print Screen、Scroll Lock、Pause/Break) ・一部のナビゲーションキー(Home、End、Page Up、Page Down) ・右Windowsキー テンキーレスモデルの左端ブロックから、Deleteキーを除く編集キーと6パックキーを削除した。さらにカーソルキーをフルキー部分に押し込めるために右Windowsキーを削除している。その他、右Alt、Shiftキーの小型化、Fnキーの配置変更も見られる。 筆者は普段、REALFORCE R3の英語配列テンキー付きモデルを愛用している。本稿執筆のため、REALFORCE RC1の英語配列/30g荷重(C1HK13)をしばらく使用していたところ、テンキー付きモデルよりもカーソル移動キーがかなりしっくりとはまる印象だった。 筆者の手癖だと、カーソル移動時には右手をホームポジションから離し、人差し指を左キー、中指を上キー、薬指を右キーの上に移動させるのだが、それらのキーがキーボードの右下端に位置しているためポジションが取りやすい。 だが、カーソル移動キーと同様に多用するHome/Endは、右キーの上にあるFnキーと左キー/右キーの同時押しのためにかなり使いづらかった。もちろん、REALFORCEはFnキーを含めた全キーのマッピングが変更可能なので、試行錯誤しながらカスタマイズを行ってみた。小さすぎて使いづらい右ShiftをHomeに、FnキーをEndに変更、Fnキー自身はいいところにある使わないキーの代表であるCapsLockに設定するとかなり使いやすくなった。 ここで設定したキーが特殊キーばかりであることに注目してほしい。Shiftキーはいわゆる修飾キーと呼ばれるもので、HIDクラスキーボードではAltやCtrlと同様、同時押下を前提とした特別な扱いになっている。 また、Caps Lockはトグルキーであり、こちらも状態を保持する特殊なキーとなっている。さらにFnキーはOSが関知しない、ハードウェアレベルのキーだ。そのため、キーマップ変更をうたうキーボードでもこれらのキー、特にFnキーの変更をサポートしていないものも多い。だが、キー数削減で影響を受けやすいのもこのあたりだ。 コンパクトキーボードにはこれらのキーも含めたフルキーリマップ機能が重要だ。少なくとも「キーの配置に慣れることができなかった」という悲劇を回避できる確率は格段に上がるだろう。