渋谷サクラステージの大行列が示す「シブヤの変貌」現地ルポ
「100年に一度の再開発」の″ラストピース″が、ついに完成した。 7月25日、地上39階建て、高さ179mの駅直結のビルを含む「渋谷サクラステージ」が開業した。渋谷で醸造されたご当地ビールが飲めるフードホールや、化粧品ブランド「KATE」のグローバル旗艦店など、37のテナントが入る。オープン当日、本誌記者が開店前の現地に足を運ぶと、すでに1500人もの客が行列を作っていた。一連の渋谷再開発で誕生した施設の中で一番の賑わいと言える。 【画像】オープン早々にごった返すフロアが…「渋谷サクラステージ」内部写真 「大学が近いので授業の合間に来てみました。こうした都心の商業施設はハイブランドのショップばかりでカフェしか行くところがないような場所が多かったのですが、ここはコスメや本などちょっとした買い物をする店が充実していて、好印象です」(20代・女子大学生) 若い女性が「KATE」に足を運ぶ一方で、中年のビジネスマンの姿も目立つ。40代の男性会社員はこう語った。 「渋谷というと、昔はクラブに繰り出す若者が多かったけど、最近は年齢層が上がった気がするよね。一連の再開発で駅からのアクセスが良くなったからだと思う。かつては、坂だらけの街を汗だくで歩いていたけど、今は空調のきいた駅直結の通路を使ってオフィスまで行ける。サクラステージのオープンに合わせて新しく渋谷駅の改札もできたし、もっと便利になるんじゃないかな」 「100年に一度の再開発」は渋谷に何をもたらすのか。経済ジャーナリストの荻原博子氏はこう分析する。 「サクラステージ内に『ブランズ渋谷桜丘』というレジデンスが入っていますが、そこに住めるのは″上流の中の上流″の人たち。かつてセンター街でたむろしていたような若者が暮らせるとは思えない。’12年に開業したヒカリエにも、ある程度お金を持っている中流より上の層が集まっている。再開発でビルが立ち並び、小規模店がどんどん淘汰されています。若い世代の雑多な文化が発祥した土壌は、今の渋谷から無くなりつつあるのです」 サクラステージの盛況は、渋谷に起こる変化を象徴しているのかもしれない。 『FRIDAY』2024年8月16日号より
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