『TBSドキュメンタリー映画祭』第5回めの開催が決定。東京・名古屋・大阪・京都・福岡・札幌の6都市で
『TBSドキュメンタリー映画祭』が、2025年も3月14日(金) より東京・名古屋・大阪・京都・福岡・札幌の全国6都市で順次開催されることが決定した。 【全ての画像】『TBSドキュメンタリー映画祭』各上映作品 本映画祭では、社会問題や多様な生き方をテーマにした作品から、アーティストに密着したものまで、多彩なラインナップをお届けする。第5回を迎える今年は、現代を取り巻く重要な社会問題を考える「ソーシャル・セレクション」の厳選5作品と、戦後80年という節目の年である本年だからこそ観るべきドキュメンタリーを特別上映する「戦後80年企画」から3作品が上映される。 例年注目を集め活発な議論を巻き起こす「ソーシャル・セレクション」からは、南米アマゾンで先住民族の子どもたちに脳の異常や身体の麻痺などの健康被害が多発する、知られざる実態を明らかにする萩原豊監督『埋もれる叫び~南米アマゾンで広がる子ども達の異変~』。取り壊された「群馬の森」にたたずむ追悼碑を通して日本社会の変化を見る、三宅美歌・日下部正樹監督『あの日、群馬の森で -追悼碑はなぜ取り壊されたのか-』。クマの被害、ハンターの制約、政治の不透明さなど、クマ対策のヒントを追った幾島奈央監督『劇場版 クマと民主主義』。悪名高い国営諫早湾干拓事業は誰を幸せにしたのか、その実態に迫る里山千恵美監督『誰のための公共事業~ギロチンが宝の海を壊した~』。労働組合員が“ストライキして逮捕”されるという、知られざる戦後最大規模の「労働事件」の真相に迫る伊佐治整ディレクター『労組と弾圧』を上映。 さらに「戦後80年企画」では、1951年、20歳のときに米軍の兵士と結婚したことで“戦争花嫁”と呼ばれ、激動の時代を生きた女性の人生を当時の世相と共に描いた意欲作、川嶋龍太郎監督『War Bride 91歳の戦争花嫁』。第2次大戦後、米軍統治下の沖縄で米軍に「NO」と叫び続け、弾圧を恐れず民衆と共に闘い抜いた政治家・瀬長亀次郎を描いた佐古忠彦監督『米軍(アメリカ)が最も恐れた男 その名は、カメジロー』。1945年の福岡大空襲で母を失った翌日、自ら志願してB29搭乗員の処刑に加わり4人を手にかけたためにBC級戦犯とされ、東京・豊島区にあったスガモプリズンに収監、絞首刑の判決を受けた冬至堅太郎に迫った1作、大村由紀子監督『巣鴨日記 あるBC級戦犯の生涯』が上映される。 <「ソーシャル・セレクション」LINE UP> ■『埋もれる叫び~南米アマゾンで広がる子ども達の異変~』 監督:萩原豊 (C)TBS 世界最大の熱帯雨林、南米アマゾン。取材班は特別な許可を得て先住民地域に入った。そこでは違法伐採や金の違法採掘が急拡大。先住民族の子どもたちの間では、脳の異常や身体の麻痺などの深刻な健康被害が多発している。日本の水俣病と酷似し、「アマゾンの水俣病」と呼ばれ始めた。原因は金の採掘で使用される水銀の可能性が高いとみて、現地の医師らは危機を訴える。アマゾンの奥地で静かに進む、知られざる実態を明らかにする。 ■『あの日、群馬の森で -追悼碑はなぜ取り壊されたのか-』 監督:三宅美歌、日下部正樹 (C)TBS 取り壊された「群馬の森」にたたずむ追悼碑。それは戦時中、日本で過酷な労働を強いられた朝鮮人労働者を悼む碑だった。20年前、碑の設置を許可した群馬県はいまや碑の存在が「著しく公益に反する」という。その背景に浮かび上がったのは、負の歴史を“なかったことにしたい人々”の執拗な抗議運動だった。全国に広がる歴史修正の動き。碑はなぜ建てられ、そして取り壊されたのか。ひとつの追悼碑を通して日本社会の変化を見る。 ■『劇場版 クマと民主主義』 監督:幾島奈央 (C)HBC 夕食後、外でガラスが割れる音が響いた。窓を覗くと、黒い影が見えた。ヒグマだ。「家に入ってくるかもしれない……」そんな恐怖の夜が、2カ月も続いた。やっと解決したかに思えたとき、今度は住民が頼ってきたハンターたちの姿が突然消えた。クマの被害、ハンターの制約、政治の不透明さ。7年前、北海道の小さな村が直面した課題は、今や全国に広がっている。村が歩んできた道のりに、クマ対策のヒントがあった。 ■『誰のための公共事業~ギロチンが宝の海を壊した~』 監督:里山千恵美 (C)RKB 悪名高い「ギロチン」国営諫早湾干拓事業。かつて「宝の海」と呼ばれた有明海はすっかりその姿を変え、漁業が深刻な打撃を受けた。漁業者たちは「諫干」こそが原因であると、潮受け堤防排水門の「開門」を求め続けているが、国はこれに抵抗し、またかつて「開門」判決を出した司法も「非開門」に転じている。追い込まれていく漁業者たち。巨大公共事業は誰を幸せにしたのか。 ■『労組と弾圧』 ディレクター:伊佐治整 (C)MBS 労働組合員が“ストライキして逮捕”された。ミキサー運転手の労働組合「連帯労組関西地区生コン支部」、通称「関生(カンナマ)」を狙った事件だ。滋賀、大阪、京都、和歌山、各府県警が連携するかのように次々逮捕していく。労働三権は憲法が保障する基本的人権であるが、メディアはほとんど報じようとしない。「ストとはいえ過激すぎ」「幹部が反社会勢力とつながっている」……知られざる戦後最大規模の「労働事件」の真相に迫る。 <「戦後80年企画」LINE UP> ■『War Bride 91 歳の戦争花嫁』 監督:川嶋龍太郎 (C)TBS 桂子ハーン、91歳(撮影時)。彼女は1951年、20歳の時に米軍の兵士と結婚し、海を渡った。「戦争花嫁」とよばれ、激動の時代を生きた桂子の人生・生き様・家族・苦悩・日常を、当時の世相と共に描いた意欲作。戦後たった5年、米兵と歩いているだけで娼婦と言われる時代に、「何故桂子は敵国の軍人と結婚をしたのか?」そこにあった幸せとは ──。これは【真実の愛の物語】である。2025年、戦後80年を迎える今夏に舞台化が決定。 ■『米軍(アメリカ)が最も恐れた男 その名は、カメジロー』 監督:佐古忠彦 (C)TBS 第2次大戦後、米軍統治下の沖縄で、米軍に「NO」と叫び続けた政治家・瀬長亀次郎。弾圧を恐れず民衆と共に闘い抜いたその姿は「不屈」の象徴だった。米軍の策略にも屈せず、那覇市長や国会議員として立場を変えながら信念を貫いた亀次郎。本作では、稲嶺元沖縄県知事や家族の証言、未公開映像を交え、その生涯を描く。沖縄戦から始まる基地問題や、戦後沖縄の原点に迫るドキュメンタリー。追加取材と再編集を経て、テレビの名作がスクリーンによみがえる。 ■『巣鴨日記 あるBC級戦犯の生涯』 監督:大村由紀子 (C)RKB 1945年6月、西部軍主計中尉だった冬至堅太郎は、福岡大空襲で母を失った翌日、自ら志願してB29搭乗員の処刑に加わり、4人を手にかけた。敗戦後、BC級戦犯として東京・豊島区にあったスガモプリズンに収監され、その日から日記をつけ始める。死刑を覚悟していた堅太郎は内省的に自分に向き合い、「処刑した米兵にも家族が居たはず」という妻の言葉を重く受け止める。2年後、彼に宣告されたのは絞首刑だった。 <イベント情報> 『TBSドキュメンタリー映画祭』 3月14日(金)~4月3日(木) 東京・ヒューマントラストシネマ渋谷 3月28日(金)~4月10日(木) 大阪・テアトル梅田 3月28日(金)~4月10日(木) 愛知・名古屋センチュリーシネマ 3月28日(金)~4月10日(木) 京都・アップリンク京都 3月28日(金)~4月10日(木) 福岡・キノシネマ天神 4月開催 北海道・シアターキノ