激安EC「Temu」、ベトナムでサービス一時停止に ベトナム当局が命令、自国企業保護との見方も
中国発の激安越境EC(電子商取引)サイト「Temu(テム)」が、ベトナム政府から同国での事業活動を一時停止するよう命じられたことがわかった。2024年10月にベトナム向けサービスを開始してから、わずか2カ月後のことだ。 【写真】ベトナムEC市場でシェア首位の「Shopee」のトップページ 国営ベトナム通信社の2024年12月5日付の報道によれば、ベトナム商工省のEC所管部門がTemuに対して、同国のEC関連法規を順守するための「一連の措置」を取るよう求めた。 Temuは2022年9月にまずアメリカでサービスを開始。その後、世界の80カ国以上にまたたく間に進出した。だが、進出後に現地政府から事業停止を迫られたのは、これが初めてのケースだ(訳注:Temuの進出を許可しないインドネシアのような例もある)。
■SHEINも利用停止に ベトナム当局が指示した「一連の措置」には、Temuのウェブサイトやアプリ上にベトナム語のコンテンツを表示しないことや、ベトナムでのサービスはまだ事業登録の審査中であり、当局の認可を取得していない旨を明示すること、ベトナムでの広告・マーケティング活動を停止することなどが含まれている。 Temuだけではない。ベトナムに進出してすでに2年以上が経つ中国のアパレルECサイト「SHEIN(シーイン)」も、ベトナム語サイトの利用ができなくなった。とはいえ2024年12月中旬時点では、ベトナムのユーザーはSHEINのインターナショナルサイトにログインすることで、これまで通りに買い物ができるようだ。
TemuとSHEINの事業一時停止は、表向きは行政手続き上の問題だ。ベトナム商工省は2024年11月9日、両サイトに対してECプラットフォーム事業者としての登録手続きを同月末までに完了させるよう要求した。 さらに11月25日、ベトナムのファム・ミン・チン首相がEC事業者の監督を一層強化するよう関係省庁に指示する政令に署名。その中には、越境ECサービスを監督する政策の制定、電子認証サービスの導入促進、(関税や付加価値税などの)税金の取り損ねの防止、ECサービスに関わるサイバーセキュリティ強化などが盛り込まれている。