【RWS】伊藤紗弥の歴史的快挙ならず、初代女子王者はパヤーフォンに
RWS 2024年10月19日(土)タイ・ラジャダムナンスタジアム ▼ラジャダムナンスタジアム認定女子ミニマム級王座決定戦 2分5R 〇パヤーフォン・バンチャメーク(タイ/同級2位) 判定3-0 ※49-46×2、50-45 ×伊藤紗弥(尚武会/同級1位) ※パヤーフォンが初代王座に就く。 【写真】健闘を称え合い、両者はは涙のハグ 伊藤はジュニアキックで数々のタイトルを獲得。2012年12月には中学2年生にしてタイでWPMF女子世界ピン級暫定王座に就いた。2014年4月に国内で正式にプロデビューを果たすと、国内外の強敵を相手に快進撃を続けWPMF・WMC・WBCムエタイ・IPCCと女子世界王座の四冠を制覇。BOM女子ピン級(-45.53kg)初代王座、BOM女子ライトフライ級(-48.98kg)王座も獲得。 2023年9月に『RWS』初参戦もモンクッペットに判定負けを喫し、RWSでの2分3R制を踏まえてパンチを強化して11月のBOMでは予告通り左フックでミンタを2RでKOした。12月にはラジャダムナンスタジアムで初勝利、2024年4月のRWS JAPANでは元K-1王者のパヤーフォンも判定で破り、7月にはラジャ4位のノンパーフォンとの熱戦も制して7連勝中。 対戦相手は、4月のRWS JAPANで対戦したパヤーフォン。元WPMF世界女子ピン級王者。2017年11月に初来日するとムエタイの試合で3連勝。2019年10月にKrush初参戦でKrush女子アトム級王者・高梨knuckle美穂に挑戦し、延長戦の末に敗れたものの高梨を苦戦させた。2022年6月の「K-1 WORLD GP初代女子アトム級王座決定トーナメント」の1回戦でMIO、決勝では菅原美優を破り、タイ人女性初のK-1王者に就いたが、2023年3月の初防衛戦で菅原美優にリベンジを許し、王座を失った。 7月には松谷綺に判定負け、ムエタイルールに復帰して2024年4月に伊藤と対戦したが判定で敗れた。伊藤戦はムエタイルール復帰戦で、本調子ではなかったと伊藤との再戦を臨んでいたというパヤーフォン。7月の再来日では5戦無敗で勢いに乗っていたカナ・ウォーワンチャイをヒジで流血させ、ヒザで圧倒して勝利している。 1945年に創立され、コロナ禍前までは女性がリングに上がることはおろかリングに触れることさえも許されなかったムエタイの聖地ラジャダムナンスタジアム。しかし、時代は変わって女人禁制が解け、2023年12月のRWSにて遂に78年の歴史上初となる女子王座が認定され、今回伊藤の階級であるミニマム級王座も新設された。その初代王座をこの2人が争う。 戦いの舞ワイクルーを伊藤はパヤーフォンよりも長く踊った。 1R、伊藤が右ロー、右ミドルを蹴り、パヤーフォンの右ハイは伊藤がスウェーでかわす。すかさず前蹴りで伊藤を転倒させるパヤーフォン。ならばと伊藤はパヤーフォンの右ミドルをかわして右ミドルを命中。伊藤は軸足蹴りで左ミドルを蹴ったパヤーフォンを転倒させる。互いに相手の蹴りをかわしての蹴りのリターンを狙う。オープンスコアは10-9×2が伊藤、10-9がパヤーフォンと割れた。 2R、前蹴りで互いを下がらせ合い、伊藤が右ミドルを2発蹴るとパヤーフォンは組みついてくるが組み負けない伊藤。前に出る伊藤が右ミドルを蹴るとパヤーフォンはスネブロックして左ミドルを蹴り返す。パヤーフォンは待ちの姿勢で伊藤の蹴りをカットしての蹴り返しを当てていった。伊藤はさらに右ミドルを蹴り返すが、それもパヤーフォンはカットして右ミドルを当てる。OPスコアはパヤーフォンの10-9×3に。 3Rも前に出る伊藤にパヤーフォンは2Rと同じようにカットしての蹴り返し。しかし、伊藤が軸足蹴りで豪快にパヤーフォンを転倒させる。焦るパヤーフォンは組みに行くが伊藤は足を開いてヒザを蹴らせず、左ミドルを2発当てる。パヤーフォンの蹴り返しにさらに蹴り返す伊藤。パヤーフォンは伊藤が得意とする右ミドルを徹底してカットしていく。オープンスコアはパヤーフォンの10-9×3に。 4R、伊藤の左ミドルにパヤーフォンが左ミドルを返すと伊藤が右ミドル。次の右ミドルにはパヤーフォンが左ミドルを返す。伊藤のミドルにすぐミドルを返して当てることを徹底するパヤーフォン。伊藤は左フックをヒットさせての右ミドル。パヤーフォンは前蹴りで体勢を立て直す。最後に右ミドルを当てたパヤーフォンはラウンドが終了すると笑顔で手を上げてアピール。OPスコアはパヤーフォンの10-9×3となった。 5R、左フックで攻める伊藤をパヤーフォンは前蹴りで突き放す。完全に待ちの姿勢のパヤーフォンへ伊藤は左ボディを蹴り、軸足蹴りで転倒させる。前蹴りで伊藤を近づけさせないパヤーフォンはミドルもカット。伊藤は右ボディを叩いてパンチで攻め込むがパヤーフォンが前蹴りで突き放す。 試合終了のゴングが鳴ると、パヤーフォンは伊藤のコーナーまで行って笑顔で伊藤を抱きしめる。判定は3-0でパヤーフォンが勝利。パヤーフォンは嬉し涙、伊藤は悔し涙を流し、もう一度抱き合って健闘を称え合った。 パヤーフォンは勝利者インタビューに「地元での試合でプレッシャーを感じていたけれどやり遂げてよかった。私は誰とでも戦います」と答えた。
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