ETCカード、貸し借りすると「違法」って本当? “普及率95%”に潜む落とし穴、家族からでもダメなの?
家族で使えるETCの常識
ETCカードを貸し借りせずに済む方法が実はある。カード会社は、家族間でETCカードを共用するシチュエーションを想定しているのだ。その解決策が「家族カード」だ。 家族カードとは、本人会員と生計をともにする家族向けに発行されるカードで、カード会社によって詳細は異なるが、ETCカードを家族カードに付帯させることができる。この方法を利用すれば、カードを貸し借りせずに、自分名義で引き落とし口座が同一のETCカードを手に入れることができる。 ただし、重要なのは、家族カードを発行したとしても、その利用はカードに記載されている名義人のみであるという点だ。家族や本会員であっても、自分名義以外のETCカードを使用すると規約違反となるので注意が必要だ。 レンタカーを利用する場合も、レンタカー会社がETCカードのレンタルサービスを提供している。例えば、トヨタレンタカーでは「ETCカードレンタル」というサービスがあり、1回330円(税込み)でレンタルでき、ETC利用料金はレンタカー料金と一緒に精算可能だ。ただし、この場合も第三者への再貸し出しは禁止されているため、使用に際しての注意が必要だ。
ETCカード95%時代の盲点
ひょんなことから話題になったETCの貸し借り問題。「電子計算機使用詐欺罪」という罪名には聞き慣れない人も多いが、ETCカードの貸し借りが違法であることは改めて認識しておきたい。国土交通省のデータによれば、2024年8月時点のETC利用率は94.7%に達しており、ETCカードはドライバーにとって欠かせない存在となっている。 興味深いのは、ファブリカコミュニケーションズが2022年6月に実施したETCカードに関するアンケートだ。この調査では300人を対象に「ETCカードを持っているか」を尋ねたところ、「持っている」と回答した人は38%だった。調査対象者の36.7%が運転をしないため、運転する190人に絞ると所持率は60%に上昇する。それでも、ETCカードを持たない人は意外に多いといえる。 その理由として、高速道路をほとんど利用しないケースも考えられるが、なかには、たまに高速を使うだけなので家族のETCカードを借りているという人もいるだろう。こうしたETCカードの貸し借り問題は、実は身近なところで法を犯すリスクを秘めているのだ。 判決や法解釈についての議論はさておき、まずは自身のETCカードの利用規約を一度確認してみることをお勧めしたい。ルールを知り、違反リスクを避けることが、安心してカーライフを楽しむ第1歩となるだろう。
喜多崇由(フリーライター)