日本でも導入検討。アメリカ人はどう過ごす?サマータイムのある暮らし
各州で異なるサマータイムへの思惑
各州の権限が強い連邦制の米国では、サマータイム実施の是非も州が決定します。主要産業である農業に利がないとして長い間実施していなかったインディアナ州の他に、夏の間日中の温度が高すぎるアリゾナ州や1年中ほぼ「サマー状態」のハワイ州などは、今でもサマータイム意味なしということで実施していません。この他にもいくつかの州でサマータイムをめぐり模索が続いています。 まずフロリダ州は、通年サマータイムの導入法案を州議会の上・下院で今年3月に可決しました。通年サマータイムで経済活動や公共の安全、メンタルヘルス問題が改善されるというのが、法案を提出した議員たちの主張です。 通常ならば、手続きとしては州知事の署名を待つのみというところですが、これに関してはそう簡単にことは進みません。サマータイムの実施または廃止は州に決定権があるのですが、標準時間については標準だけにそもそも実施という概念がないので、廃止する、つまり通年サマータイムを採用して、標準時間を全く使わないと州が決定することはできないのです。 実際、7月初めの時点でも連邦議会の承認を待っている状態で、このままいけば11月にフロリダ州はまた他の全州同様、標準時間にもどっていくことになります。 カリフォルニア州も同様に、こちらは今年11月にある中間選挙の際の住民投票の案件として、通年サマータイム導入の賛否が問われます。 LAタイムズの記事では通年サマータイムのプラスマイナスを指摘。サマータイムのため、西海岸では7月4日の独立記念日は花火のために随分遅くまで暗くなるのを待たなくてはいけないわけだけれど、サマータイムがないと朝は4時47分には朝日が登るというのもばかばかしい。 一方、冬にもサマータイム実施となると、子どもが学校に向かう時間帯でもまだ暗いということになって、それはワイルドすぎて危険ではないのか? 有権者はそういうことをすべて考慮して投票すべきだと呼びかける内容は、検討事項がずいぶん具体的な日常レベルに落とし込まれているなあという印象です。 メイン州、マサチューセッツ州、ニューハンプシャー州、ロードアイランド州といったニューイングランド地方の州は、近年、関連調査委員会を設置したり、推進派の議員が法案を州議会に提出するなどして、通年サマータイムの可能性を探ってきました。赤道からより遠いこれら北東部の州では、感謝祭やクリスマスの頃ともなると午後4時前には日が暮れてしまうからです。 通年サマータイムの導入という考えはフロリダ州やカリフォルニア州と同じですが、ちょっと違うのは、これらニューイングランド地方の州が、「みんなでやれば怖くない」戦略を模索している点でしょうか。同時に実施することで、たとえば東部時間の巨人(?)ニューヨーク市などと時間を異にする不利をカバーできるという目論見です。 とはいえ、この実現にも、タイムゾーンの管轄権限を持つ連邦政府の承認が必要。ボストンを擁するマサチューセッツ州やロードアイランド州の知事がこの案に消極的とも言われていて、推進派の舵取りも複雑です。午後4時には日が暮れてしまう冬は、確かにあまりにも長いですが……。