「健康な人を病から遠ざける方法の1つに“美容”がある」YA-MAN(ヤーマン)と東大が共同開発した新技術の可能性
美容機器や化粧品で知られるヤーマン株式会社は、もともとは精密電子機器メーカーとしてスタートした企業だ。その豊富な工学的知見をいかし、独自の「表情筋研究所」を設立していることは、以前Fashion Tech Newsでも紹介した。 今回は、ヤーマンの表情筋研究所と東京大学大学院医学系研究科皮膚科学教室が共同で研究を行い、今年論文発表された「CERTECを搭載するデバイスを用いた顔面の老化に対する効果検証」について取材を実施。同教室において美顔器の技術を対象とした初めての臨床研究であり、本論文は『Journal of Cosmetic Dermatology』に掲載され、話題となった。 老化の概念を覆すような、この画期的な新技術「CERTEC(サーテック)」について詳しく話を伺った。
老化した状態をもとに戻す方法
ーヤーマンと東京大学で共同研究開発された「CERTEC」は、どのような技術ですか? 山﨑: CERTECは「Cell Energy Regeneration Technology」の略で、熱刺激と電気刺激を両立させたヤーマン独自の新技術です。この刺激を「熱電気刺激」と呼んでいます。 美容技術には、熱、電気、超音波、光という4大エネルギーがあります。そのうちの2つの要素を同時に与えることで、より高い美容効果が得られるのではという仮説を立て、その効果を検証したのが今回の論文です。 CERTECは、RF(ラジオ波)よりも表情筋に近いところで熱電気刺激を肌に与え、しわやたるみに効果を発揮します。論文では、CERTECが顔の皮膚の弾力性を効果的に改善し、しわやたるみを減少させ、血流を促進し、顔全体の見た目の若返りに寄与することを発表しました。
ー熱刺激と電気刺激を同時に出すというのは、どのような現象なのでしょうか。 山﨑: 肌は刺激が細かくなると感知できなくなり、代わりに熱として感じます。これは「感知電流の周波数特性」というものです。 たとえば、1秒間に1回腕を叩いた場合、何回叩かれたかわかりますが、1秒間に100回、1000回叩かれた場合はわかりにくく、叩かれる感覚だけが残ります。 これが10万回、100万回と増えると、叩かれる感覚よりも温かさを感じるようになります。 CERTECはこの特性を利用して、1つの電極から熱と電気のエネルギーを同時に出力し、同じ箇所に熱と電気両方の刺激を与えることを目指して開発されました。