「健康な人を病から遠ざける方法の1つに“美容”がある」YA-MAN(ヤーマン)と東大が共同開発した新技術の可能性
美容領域は科学的なエビデンスが少ない
ーCERTECは、ヤーマンと東京大学大学院医学系研究科皮膚科学教室との共同論文にて発表されましたが、共同研究に至ったきっかけを教えてください。 山﨑: 東京大学大学院からお声がけいただき研究をスタートしましたが、ヤーマンとしても医学的な知見をもつ外部の専門家を求めていたところでした。 双方の研究に対するビジョンや思いが共通していたこともあり、今回の共同研究に至りました。 佐藤: 私たちは難病の研究を進めてきましたが、一般の方にも研究成果を届けたいと考え、美容研究に領域を広げました。 医療分野ではエビデンスに基づいて治療法を選択しますが、美容領域はエビデンスが少なく、一般の方がどの製品を選べばどのような効果が得られるのか、ほとんどわかっていない状況にあります。 そこで美容分野に科学的エビデンスを導入し、自身にとって最適な製品を選べる環境を提供したいと考え、ヤーマン社にお声がけしました。 吉崎: 健康な人を病から遠ざける方法として“美容”も有効です。 美容を研究し、エビデンスを積み重ねることは、人々の活力を高め、健康寿命を延ばすことにもつながります。 また、皮膚には神経や血管が多く存在し、皮膚への美容的アプローチが健康にも良い影響を与えられると考えています。美容への関心が高まれば、“皮膚は健康を映す鏡”という認識も広まり、肌の状態から健康を意識する行動につながるでしょう。
ーヤーマン社と東京大学大学院の共同研究にはどのような魅力、強みがあるとお考えですか? 佐藤: ヤーマン社はもともと精密機械メーカーで、技術面で信頼できる会社です。 ヤーマン社と当教室が共同研究することにより、皮膚科領域に電子工学的なアプローチを導入でき、医学と工学の融合が実現しました。 このようなアプローチは美容分野では非常に珍しく、先駆的かつ最先端の研究になると考えています。 吉崎: 共同研究といっても、実際には一方がもう一方に研究を丸投げして監修だけを行うといった、形だけのものも多いです。しかし、私たちはお互いの強みを生かし、対等に研究を進められています。 私たちは医学部に所属していますが、実は医者が研究でできることは限られており、新しいことに取り組む際には工学的な手法が必要となります。 長年、医工連携の研究を続けてきましたが、ヤーマン社と連携するにあたって本社を訪問したところ、まるで東大工学部かと思うほどの機器が揃っており、一般的な美容メーカーとは一線を画す企業だと感じました。 ヤーマン社との共同研究を通じて、健常な方も皮膚の悩みを多く抱えていることを知り、私自身の視野が広がりました。日常臨床についても患者さんの困りごとをより深く理解できるようになったと感じております。